第115章 ついに

(翻訳者注)この章には成人向け描写が含まれます。


アンダースはほんの少しだけ心配になって、もう一度台所を見回した。今日の夕食はごく簡単な物だとしても、簡単なりにきちんとしておきたかった。少なくとも彼の台所には、今では時折友人達を招いて食事をすることもあって、かなりの食器や食べ物が揃っていた。彼は壁沿いの棚に並べられた沢山のワインから何本かを選び、彼とセバスチャンの好きなピクルスの瓶を幾つか取りだした。

冬の間に燻された良い香りのソーセージは後は焼くだけでよく、それに城の台所で今朝焼かれたパン、何種類かのチーズ、コテージへ戻って来てから野菜畑で急いで摘み取って洗った新鮮な春の青物をたっぷり使ったサラダもあった。

セバスチャンが準備に時間を掛けてくれることを願いながら、彼は大急ぎで浴室に飛び込んだ。服を脱ぎ捨て、ちゃんとした風呂に入っている時間は無かったので、浴槽の中に立ったまま石けんを付けた洗い布で身体を擦り、水を温める手間も惜しんで冷たい水をかぶった。
手早く水気を拭き取って寝室に舞い戻った時には、今夜のために何を着るかはもう決めていた。簡素で、着心地の良い服――黒に近い青色のレギンスと無地の白シャツ、その上にゆったりした袖無しのベストを着て、ウエストは濃い青地の布を金色の紐で編み込んだ飾りベルトを締めた。彼はその金色の紐をちょっとだけ切って、頭の後ろで髪の毛を結ぶのに使った。

爪が清潔できちんと切り整えてあることを確認し、あるいは息を良い匂いにするために、もう一回畑に行ってミントの葉を摘んでくる時間があるかと思ったちょうどその時、クローゼットの後ろの隠し扉が開いたことを知らせる微かな音が聞こえた。セバスチャンが少しためらいがちに彼の部屋へ入ってくるのが目に入って、彼は微笑んだ。

大公も彼同様に簡素な服を着ていた。焦げ茶色のウールのレギンスと、首筋と袖周りに繊細な透かし模様の入った白シャツ。まだ僅かに湿気った髪は乾く間に少しばかり癖が付いていた。アンダースは心地よい柑橘類の香りを感じた――セバスチャンからはアンダースの好きな紅茶の、ベルガモットの香りがした。二人はただそこに立って、互いの姿に称賛の笑みを浮かべながら見つめ合っていた。

「さて」暫くしてセバスチャンが、嬉しそうに唇の隅を上げながら言った。
「パンとワインは見つかったか?」

アンダースは温かく彼に微笑み返した。
「それ以外にも幾つかね」と彼は答えて、先に立って台所へ向かった。

彼らは食事の支度を一緒にすることにして、アンダースがパンとチーズを切ってピクルスを瓶から出す間に、セバスチャンがソーセージを準備した。セバスチャンは暖炉の石炭の中に立てた足つきフライパンでソーセージを焦がさないよう注意して焼き――もう初夏を思わせる暖かな夜に大きな炎は具合が悪かったので、ごくささやかな火で――アンダースはそのすぐ側のカウンターで立って準備を整えた。二人は身体に触れこそしなかったが、始終顔を見合わせて、時には笑い、思考の向かう先によっては時折僅かに顔を赤らめたりした。

ようやく全部準備出来たところで、二人は椅子を彼らの肘が時折当たるくらいの側に並べ、座って食べ始めた。テーブルの下では互いの脚が触れあっていた。彼らは少しばかり話をして――診療所のこと、子供達の話、犬のしつけ方、庭の様子――この数日間彼らの頭を悩ませていた、心配事や緊張を思い出させるような話題は避けていた。セバスチャンは新鮮なサラダを褒め、アンダースはソーセージがどれほど上手く調理されているかについて、なにやら含みのある意見を述べた。セバスチャンは大声で笑い、バターを塗ったパンを一切れ取って大きくかじり付いた。

「今夜はここに泊まるのか?」
唇の周りにはみ出たバターを舐め取ろうと、セバスチャンの唇から舌がちらりと覗くのを見ながら、アンダースがそっと尋ねた。大公の鮮やかな青色の眼が彼に向かって煌めき、それから彼は笑った。判っていると言いたげな、誘いかける微笑み。

「ああ」とセバスチャンは確信に満ちた、温かい声で答えた。

「良かった」とアンダースは言って、身を乗り出すと彼にキスをした。ごく軽い、バターの味を確かめるだけのようなキス。それからアンダースはゴブレットを持ち上げ、暗赤色のワインを一口すすった。セバスチャンは笑い、同じように身を傾けてお返しのキスをした。

二人はその後、食事を食べワインを飲みながら合間にそっと顔に触れ、あるいはキスをした。どのキスも違った味わい――ワイン、サラダに掛けた油、アンダースが好きなキュウリのピクルスのディルとマスタードシードと酢の味、あるいはセバスチャンの好きなオリーブの味がしていた。最後の数回のキスはとりわけ甘く、新鮮な木イチゴとジンジャークッキーの味がした。

食事が終わる頃には二人とも幸せに寛ぎ、嬉しさとこの先に待つ更に大きな喜びへの期待に頬を染めていた。食事の残りを犬達に分けてやると、洗うのは後回しにして汚れた皿を台所のカウンターに置いた。彼らはそこでまたキスをして、セバスチャンがアンダースの背中をカウンターへ押しつけ前屈みになり、アンダースはカウンターの端にもたれて長身を反らせ、互いの顔に触れ、頭を抱き、股間をきつく押しつけあった。長いキスが終わったとき二人とも息を弾ませ、彼らのレギンスの一部は見るからに大きく膨らんでいた。

「先に犬達を表に出させてくれ」とアンダースは、まだ二人が離れがたく押し付け合う脚を見おろしながら、擦れた声で言った。

セバスチャンは大きく息を吸うと頷き、一歩下がって彼の身体を離した。アンダースは玄関を開けて犬達を庭へ出してやった後、身を翻して彼の寝室へ向かう短い廊下を歩き始めたが、セバスチャンは大股で彼を追い、寝室の扉の直前で彼を捕まえて再び熱っぽく唇を奪った。アンダースの両手が彼の顔を包み込んだ。
キスをしたまま、セバスチャンの手はベストを締めているベルトを手探りで解き、布地を押し分けて中に滑りこみ、ウエストに手を当ててメイジの身体の温かみを感じた後、身体の横に沿って下へと手を滑り降ろした。それからシャツを握ってレギンスから引っ張り出すと、紐を緩め始めた。

セバスチャンの手がシャツの下で素肌を撫でる感覚にアンダースは息を飲んだ。メイジの両手は一瞬掴んだ髪をきつく握りしめ、それから僅かに震えてセバスチャンの肩へと落ちた。ようやく二人は唇を離して、その場に立ちすくんだままお互いの眼を探るように見つめあった。鮮やかな青色と蜂蜜色の瞳は、沸き上がる欲望に黒々と広がり、しかし互いを求め合うこの瞬間の先をどう続けるか、二人共に自信が持てないでいた。

それからセバスチャンは再び手を動かして、左手の指先でアンダースのウエストを撫で、一方右手はシャツの下から離れて更に下へ、メイジのレギンスの中へと滑りこんだ。そこの太腿の間の膨らみを彼の手で包み込んで強く押し、アンダースは呻くと彼自身を手の中に擦り付け、それが更に硬さを増した。それに呼応してセバスチャンは自らの股間も張り詰めるのを感じた。

セバスチャンは彼が望む物が何かは判っていた……問題は、アンダースが果たしてそれを受け入れてくれるだろうか?

彼は前のめりにアンダースの髪に鼻先を埋め、男の顎、首筋、それから耳たぶへと唇を押しつけた。後ずさったアンダースの背中が寝室の外壁にぶつかり、セバスチャンは両手を壁についてメイジを閉じ込め、二人は互いに強く全身を押し付けた。

セバスチャンは不安げに喉をゴクリとさせ、それから本当に微かな声でメイジの耳元にささやいた。
「このコテージの中で、二人だけの時は……私は大公ではない。ただの男だ。そしてお前の言うことに従おう。何を私にさせたいか、言ってくれ」

アンダースはその言葉に大きく身を震わせ、両手は発作的にセバスチャンの肩を握りしめた。彼は優しく大公の身体を押しやり、今聞いた言葉が、本当にセバスチャンの望むことかと確かめるように、男の顔を覗きこんだ。セバスチャンが心からそう願っていると見て取った彼の眼に浮かぶ表情は……そこには渇望と、熱せられた欲望が渦巻いていた。セバスチャンはその表情に思わず眼を閉じ身を震わせた。アンダースは片手を肩から上げて頭を抱え込み、身を乗り出して彼の唇を貪った。その激しいキスにセバスチャンは思わず呻き、こみ上げる欲望に彼の膝がふらつくのを感じた。

再び彼はセバスチャンの肩に手を戻し、両手で強く下向きに押した。
「屈んで」と彼は唸り声で言った。

両肩に掛かった力強い手と、その欲望に満ちた声音にセバスチャンは従い、男の前で流れるような動作で片膝を着いた。メイジのレギンスの膨らみが彼の目の前にあり、彼自身の左手はまだシャツの下の暖かな肌に触れていた。彼はもう片方の手をレギンスの紐に置き、許しを求めてメイジの顔を見上げた。彼を見下ろすメイジの灼熱する眼差しに捉えられ、彼の身体は一瞬凍り付き、口中はカラカラに乾き、呼吸さえ止まった。

「ああ」とアンダースは荒い声で言い、セバスチャンはそっと息を付いた。彼は手を暖かな肌から離すのは嫌だったが、しかしレギンスの紐を緩めるには両手が必要だった。それからかれは引き締まったアンダースの尻からレギンスを降ろした。一瞬のためらいの後、彼は再びゆっくり息を吸い、それからメイジの下着を下げて張りつめた勃起を開放した。

アンダースとベッドを共にしたあの夜、メイジが大層魅力的に自らを開放した夜に眼にした記憶と、それほど大きくは違わなかった。上向きにそそり立つ姿、メイジの腹の方へ反って僅かに片側へ曲がり、根本は赤金色の弾力のある毛に覆われていた。あの夜、彼の誓約がそれに触れることを禁じていた。今夜の彼にもはやそのような妨げは無く、ためらいだけがあった。

彼は右手の指先で、その先端のビロードのように柔らかな包皮に触れ、それから下唇を噛むとごく微かな力を加えて、根本に向かって包皮を撫で下ろした。膨らんだ先端がその鞘から滑らかに現れた。赤く充血した先端からは透明な滴が今にもこぼれ落ちそうだった。彼は男根を包む手に更に力を込め、親指でその滴を取ると先端に塗り広げてメイジを快感に喘がせた。

最後にこうやって他の男に触れてから、一体何年になるだろうか?10年以上なのは間違いない……スタークヘイブンに戻ってから一年。カークウォールに居た当時に彼の家族が殺されてから6年。その前にカークウォール教会で信仰に身を捧げたブラザーとして勤めた5年。すると、少なくとも12年以上か。

彼はアンダースの勃起の根元まで手で撫で下ろし、それから上半身を傾けて自らの唇の間に先端だけを挟むとしばし眼を閉じ、味と匂い、そしてその感触に心を集中した。透明な滴の僅かな塩気、アンダースの好きな石けんの、バルサムの微かな香りが、男自身の温かな皮膚から立ち上るさらに微かなムスク臭と入り交じっていた。彼はためらいがちに舌で先端を舐め、アンダースの静かな喘ぎ声を聞き、彼の腰が僅かにぴくりと動き、彼の両手が再びセバスチャンの肩を握りしめる感触を感じていた。

彼は再び眼を開け、まだ上着を着たままのアンダースを見上げて眼を合わせながら、男のものを口中に受け入れた。かつて他の男を喜ばせた頃の記憶が次第に蘇り、彼は舌を動かしながら口全体を使いリズミカルに吸い上げた。それから更に、彼は絡み合う視線を離さずに、窒息する寸前までアンダースの男根を喉の奥深くへと飲み込み、裏側に沿って力強く舐め回した。

セバスチャンは片腕をメイジの腰に廻し、最初はおずおずと、しかし次第に自信ありげに彼の頭を前後させ、その間にもう片方の手でその根本を擦り上げた。しばらくそうした後でようやく彼は、かつてやり方を覚えた、あることを試してみようと思い立った。
彼は顔をアンダースの下腹部にぐっと近づけて、更に硬さを増したメイジの男根の先端が、喉の奥に押し当たるまで無理矢理滑り込ませた。反射的に嘔吐しようとする反応を抑え込むため彼は一瞬身を固くしたが、やがてその瞬間は過ぎ去り、喉の筋肉がちょうど良いように緩んで、アンダースのものが更に喉の奥へと滑り込んだ。

驚きと快感の叫び声が頭上から聞こえ、アンダースは眼を閉じて頭を壁に持たせかけ、両手を肩から上げてセバスチャンの髪の毛を掴んだ。セバスチャンが頭を引く時に邪魔になる程ではなく、指先を緩く髪に差し込み頭皮を愛撫しながら、大公の大きく開いた口の中へ彼自身を突き入れようとする衝動と戦って身を震わせ呻き声を上げた。

セバスチャンは一度アンダースの男根をほとんど完全に口から出し、そして再び喉元奥深くまで挿入した。更にもう一度。三度目にアンダースの手は突然彼の髪を痛いほど握りしめ、大きく叫び声を上げると激しい絶頂に達した。その瞬間に彼は手を緩め、セバスチャンはそのほろ苦い液体の奔流で窒息する前に、彼の頭を引くことが出来た。
彼の記憶にあるより苦く、ムスク臭と僅かに不快な後味がした。彼はアンダースの絶頂が終わるまで口中で脈動するものをしゃぶり続け、それからようやく頭を引き、メイジのだらりと垂れた、唾液にまみれて光る男根が彼の唇から滑り出た。

セバスチャンも息を切らせ、彼自らの勃起は服の中に閉じ込められたまま、もはや痛いほどに疼いていた。アンダースは驚くほどの力で彼を引っ張り立ち上がらせると、素早く身を回して今度はセバスチャンを壁の隅に押しやった。アンダースは身をかがめると再び貪るようにキスをして、両手で彼の服を掴みシャツをレギンスから引き出した。メイジの舌は口中を跳ね回り、微かに残る後味を拭い去るかのように彼の舌と絡み合い、両手で身体中をまさぐった――片手はシャツの下に潜り込んでセバスチャンの素肌を撫で、指先で巧みに彼の乳首をつまみ上げ、そしてもう片手はレギンスに覆われた彼の勃起を包み込み、力強く押しつけて、ほとんど苦痛に近い快感に喘ぐ呻き声を大公に上げさせた。それから手の感触はアンダースが片腿を押しつける圧力に変わり、両手は彼の背後へ滑り込んで、指先が痛いほどに尻に食い込んだ。

彼は思わず叫び声を上げ、彼自身をアンダースの太腿に強く押し付けた。アンダースは貪るように彼の唇をついばみ、それから顎へ、更に首元へと唇を沿わせ、男の僅かにざらついた頬がセバスチャンの滑らかに剃り上げた頬を撫でた。
セバスチャンはさっきずり降ろしたメイジのレギンスと下着の端が、彼の脚の間で柔らかにめくれ上がる感触を感じ、自分の口から漏れる物欲しげな喘ぎに辛うじて気付きながら、男の太腿に向かって自らの勃起を幾度も擦り付けた。それからアンダースは唐突に彼から身体を離し、一歩後ろへ下がった。

メイジが彼を見つめる様子は、セバスチャンの全身を欲望に焦がした。
「寝室へ行って服を脱げ。君が見たい。君の全てを」とアンダースが荒々しい声で命じ、彼自身の胸も息を整えようと激しく上下していた。彼はそう言いながら下着とレギンスを引っ張り上げて服を着直したが、紐の方は放っておいた。

セバスチャンは頷き、寝室へと急いだ。服を脱ぐところを凝視するアンダースの視線を彼は痛いほど感じていた。彼は自らの欲望に突き動かされ、その行為を色っぽく見せようと思う余裕さえ無かった。焦るあまりに彼の手はぎこちなく、急いでシャツを首から引っ張り上げようと思う端から首元の紐が顎に引っかかった。彼は仕方なくもう一度シャツを下ろして、震える指先で紐を緩めると、再び頭の上からシャツを脱いだ。彼はせわしなく最後の靴下を脱ぎ捨て、きまり悪さに頬を染めながら男が凝視する前に裸で立った。

アンダースはぎこちなさや手間取るところを気に掛ける様子もなく、セバスチャンが服と格闘する間ほんの僅かに愉快そうな笑みを唇に浮かべて、アーチャーの筋肉質の体に感心するように、頭から爪先まで幾度も舐め回すように見つめた。ようやく男が裸になると、彼はその前に立った。
「じっとして」と彼は命じると、片手を伸ばして軽くセバスチャンの腹部の皮膚に触れ、それからゆっくりと男の周りを回った。

セバスチャンはじっとしたまま、まるで獲物を狙う猫のように静かに周回するアンダースを首だけを回して見ていた。メイジはセバスチャンの色白の肌を食い入るように見つめ、手を上げて指先が左肩を掠めると、肩甲骨のすぐ上にある黒いほくろにためらうように触れ、それから背中をなぞりながら尻へと手を下ろした。
セバスチャンはほとんどねじ曲がるほどに首を曲げて、彼の背後から前へと戻るアンダースの指先を見つめた。男の指は彼の肋骨をくすぐった後で上腕部を軽く握り、その下で動く筋肉の感触を楽しんだ後、引き締まった胸に平たく手を当て、親指でからかうように彼の乳首を撫でた。

アンダースは動きを止め、セバスチャンの硬く勃った男根を凝視した後、視線を上げて彼と目線を合わせた。二人の男は一瞬ただお互いを見つめあい、それからアンダースは軽くセバスチャンの肩を押しやった。
「ベッドへ」と擦れた声で彼は命じた。

視線をメイジから離すことなく、セバスチャンは後ずさった。彼はベッドの端が柔らかく太腿の後ろに当たるのを感じ、用心しながら腰を降ろた。そのまま彼は後ずさってベッドの上で横になり、背後で両肘を付いて上半身を持ち上げ、脚を軽く広げた。彼自身のものが、後ずさりする彼を貪るように見つめるアンダースの視線に反応しピクリとひくついた。

彼はアンダースも服を脱ぐと予想していたが、メイジは代わりに彼の後を追ってベッドに入り、下腿を膝で更に押し広げてその間に座り込むと、それから上半身を倒して両手をセバスチャンの両肩の横に付け、そのまま身体を降ろすと大公に優しくキスをした。
服を着たままのアンダースの身体が覆い被さり、彼をマットレスに沈み込ませる重みと感触は、素肌同士が触れあうより刺激的で、何故かしら彼に脆弱さと護られている感覚を共に感じさせた。彼は裸で着衣した男に組み敷かれ、しかし同時にその暖かな重みに護られていて、彼の五感をアンダースの存在が覆い尽くした。彼は思わず呻き声を漏らすと腰を上に押しつけ、アンダースは歓迎するように鼻を鳴らした。

彼は更に脚を広げ膝を曲げて、柔らかなベッドに足裏を付けると腰を突き上げ、喘ぎながら彼の勃起をアンダースの服に擦り付けた。彼は両手を上げてアンダースのベストの中に滑り込ませ、シャツの上から薄い布地越しにメイジの身体を抱きしめた。アンダースが彼の顔に、首元に、あるいは肩に降らせるキスの雨と、時折彼の皮膚を味わうかのように舐めては強く吸い、彼にもっととせがむ声を上げさせた。アンダースのひどく傷ついた皮膚の隆起が布地越しにも感じられ、あるいはこれがメイジが服を着たままで居る理由かと、彼はふと思った。

それからメイジが彼の男根を身体の間に挟んだまま強く擦り付け、両手が彼の乳首を巧妙にまさぐり、再び唇を奪うと力強く舌を差し入れた。全ての思考が彼の脳裏から吹き飛び、セバスチャンは大きく呻くと両脚をアンダースにきつく絡ませ、自らの放出を求めて幾度も腰を突き出した。

突然メイジが身体を翻して彼から離れ、純然たる欲望に疼き悶える彼をベッドの上に残した。彼は眼を瞬かせ、メイジが突然身を離したのに混乱するあまり、思わず手を伸ばして彼自身に触れようと思った程だった。彼はアンダースがベッドを降りて立ち上がると数歩進み、それから再び彼の方に振り返るのを落胆と共に眺めた。

アンダースはほとんど同じ位息を切らせ頬を上気させながら、セバスチャンを安心させる様に笑いかけると、ゆっくりと一枚ずつ彼の服を脱ぎ始めた。決して急ぐ様子はなく、袖無しのベストを最初に脱いで軽く振って布地を整え、ベッドの足元に丁寧に置いた。ついで彼は手を上げてシャツの紐を静かに緩めると、頭から流れるような動作で一息に脱ぎ、それもベストの上に落として、彼の一切余分な贅肉のない引き締まった胸と肩を、熱烈な眼差しで見つめるセバスチャンの視線に晒した。彼は室内履きを脱ぎ捨て、レギンスと下着も脱いで片足立ちになると靴下を脱ぎ、反対側も同じように脱いで、ベッドの足元に積み重なる服の上に落とした。

ベッドに再び歩み寄ったアンダースの男根が、既に半ば勃ち上がっているのに気付いてセバスチャンは唖然とし、彼の驚く顔付きに驚いた表情のメイジを見つめた。
「魔法か?」と彼は尋ねた。

彼の視線の先を追ってから、アンダースは短く愉快そうな笑い声を立てた。
「いや。ともかく、僕の魔法じゃない。僕がグレイ・ウォーデンであることから来る些細な副効果だ。あらゆる物に対する常人離れした食欲と、それを満たすだけの体力」
そう彼が付け加えた時の、その低く擦れた声は何に対する食欲かを明確に示していた。アンダースはベッドに上がりながら彼自身を手にとって軽く擦り、再び完全に勃起させるとセバスチャンの脚の間に膝立ちになった。

アンダースはそのまま身を倒して再び大公の上にのし掛かり、二人はもぞもぞとメイジが服を脱ぐ前の位置に戻ると、彼らの男根は互いの身体の間で擦れあった。セバスチャンは微かに震える手を上げて、アンダースの髪を結んでいる金色の紐を抜き取り、同じく金色の髪が二人の顔に落ちかかるのを見て微笑んだ。アンダースも微笑み返して頭を屈めると彼に優しくキスをして、彼に向かって全身を押しつけるセバスチャンに対し、快感に呻く声を返した。

セバスチャンがアンダースの身体に腕を回した時、今度は酷く傷ついた背中の素肌の、あちこちで盛り上がる傷跡に触れ、そこの皮膚が彼の手の下でピクリと動き、突然背に緊張が走るのを感じた。

彼は心配になってためらい、手を止めた。
「気になるか?」と彼は静かに尋ねた。「背中に触られると?」

アンダースは微かに顔をしかめたが、それから頭を振った。
「いいや……まあ、少しはね、だけどそれは傷がそこに在るせいと、どうしてそうなったかというせいで……触ることは自体は構わないよ」

セバスチャンは頷いた。彼は片手をアンダースの背中に伸ばして、そこの奇妙な手触りを探索し、男がその感触に微かに震えるのを感じた。
「今でもまだ痛むのか?」

「いや」静かにささやく声。
「一番傷が酷かったところは、時々変な感覚だったり、ちくちくしたりするけど、それだけだ」

セバスチャンは再び頷いて、頭を傾けると長い傷跡がアンダースの肩にまで達しているところに唇を当て、そこの日焼けした皮膚の中に、細く盛り上がった白い線として伸びる傷跡を辿った。アンダースは身を震わせ、それから緊張を緩めると自らも頭を傾けてセバスチャンの首筋に顔を埋め、大きく息を吸った。
「君は良い匂いがする」と彼はささやくと、再び身体を動かし始めた。

彼らは共に身体を揺り動かし、両手が互いの身体を探索した。セバスチャンの手はアンダースの背中の荒れた皮膚、その髪の絹のような滑らかさ、長い足と引き締まった尻の筋肉が、彼の指先の下でリズミカルに収縮するのを感じた。
アンダースは彼の指を大公の髪に食い込ませ、それから頑丈な幅広い肩と胸の筋肉を揉み、それから背後に手を差し入れて、互いの身体を更にきつく密着させた。既に長い間崖っぷちにいたセバスチャンが、一気に絶頂へ達して大声で叫ぶと鋭く身体を震わせ、彼の精液が二人の触れあう身体を滑らかに濡らし、アンダースもその後数回大きく腰を振った後で、二人の間に放った。

メイジはしばらくの間ぐったりと彼の上で横たわり、共に息を整える間二人はただそこでくっついたまま、それでも両手は緩やかに互いの身体を撫で回していた。驚くべきことに、セバスチャンがようやく息を整えたかどうかという短時間の後で、彼は再びアンダースの男根がひくつき、彼の太腿に向かってゆっくりと硬さを増していくその圧力を感じ取った。

「本当に、これは魔法じゃないのか?」と彼は訝しむように彼らが触れあっているところを見おろして、アンダースの大きな笑い声に驚いた。

アンダースは身体を回して彼から離れ、シーツの端を引っ張って二人の腹部に付いたぬめりを拭き取ると、セバスチャンに向け口を曲げてニヤリと笑い、彼の眼は言うなれば不道徳な笑みに輝いた。

「横のテーブルの引き出しに、油軟膏の壺がある。それを取ってくれ。僕は今夜、君にグレイ・ウォーデンの体力に関する徹底的な個人授業を行う。覚悟しろよ」と彼は唸り声で命じた。

セバスチャンは身を震わせ、彼の男根がアンダースの低く擦れた声音に反応して、すでに弱々しいながらピクリと動くのを感じ、そして言われたとおりにした。


(続く……)

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第115章 ついに への2件のフィードバック

  1. EMANON のコメント:

     どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!
       三           三三
            /;:”ゝ  三三  f;:二iュ  三三三
      三   _ゞ::.ニ!    ,..’´ ̄`ヽノン
          /.;: .:}^(     <;:::::i:::::::.::: :}:}  三三
        〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__
        ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ
      . 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド'
        };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll

    うん…ほかにネタを思いつかなかったんだ…すまない…orz

  2. Laffy のコメント:

    コメントありがとうございます(^.^)wご無理なさらずにw
    放って置いたつーか最初からそうだったつーかネイティブタカビーつーか>アンダース
    しかも前後編とかもうね

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