投稿者「Laffy」のアーカイブ



第32章 相談

フェンリス達三人がイザベラの船に移ることについて、もちろんラヴェル船長に異議は無かった。それどころか、フェンリエルとアンダースが荷物を取りに戻る間にも、オーレイ船から奪い取った貴重品の数々を、彼の船員達が元船室に隙間なく … 続きを読む

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第31章 再会

ラヴェル船長は一等航海士と頭を寄せ合い、三隻目の船を避ける航路をどのように取るか、海図を睨みながら相談していた。フェンリスはメイジ達が肘をつつき合っているのに気づき、アンダースとじっと視線を交わした。やがてアンダースが唇 … 続きを読む

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第30章 追跡

ハルシニアからオストウィックまでの航海は何事も無く、ひときわ退屈に感じられた。毎朝船の調理場から沸かし立ての熱い湯が入ったポットを運んでくる船員に彼らは起こされ、フェンリエルが紅茶を淹れ、残った湯を使って出来る限り三人は … 続きを読む

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第29章 船室

フェンリスは素早く一行を脇道へと連れ込み、入り組んだ路地を早足で進みながら彼らを襲撃場所から遠ざけた。ようやく充分距離が取れたと判断したところで、彼は再び大通りへと戻り、そこから波止場はもう目と鼻の先で、到着するまでに何 … 続きを読む

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第28章 味覚

この数年の間にフェンリスはこのような雰囲気には慣れていたが、かつての彼であれば店に入った途端居心地の悪い気分を感じたのは間違い無かっただろう。あまりに大勢の人々、喧噪、馬鹿騒ぎ。しかし今の彼にはここがどういう場所か、すぐ … 続きを読む

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第27章 気配

「あの男、僕達を見ている」とフェンリスの隣の席に座りながら、フェンリエルが声を潜めてささやいた。川沿いの宿屋での、二日目の夜のことだった。 「どこだ?」とフェンリスは同様に静かな声で、辺りを見渡すこと無く尋ねた。アンダー … 続きを読む

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第26章 豪雨

旅の最初の数日は好天に恵まれた。アンダースの肌からは青白さの名残が消え、フェンリエルは二日目に丸一日、舷側から釣り糸を垂らしていたせいで、ひどい日焼けになった。上からの陽射しと、川面からの反射が合わさると、時には火傷のよ … 続きを読む

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第25章 川船

結婚式は、セバスチャンの言ったとおり、ごく小規模で形式張らない式だった。城の中の、大公一家の私的な祈祷に用いられる小さな礼拝堂で開かれ、参列者もごく控えめな数だった。二人を結婚させるために教母が一人、上町のチャントリーか … 続きを読む

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第24章 準備

フェンリスは、彼の部屋に入ると驚いて突然立ち止まり、それからゆっくりと中に歩み行った。「それは一体何を作っているのだ?」と彼は不思議そうに尋ねた。 フェンリエルは手元の細工物から顔を上げ――何かの根菜の塊をくり貫いたもの … 続きを読む

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第23章 変化

フェンリスは刺しゅう台に向かっているホークを見ながら、壁にもたれ掛かった。「君は何故、まだそれを?」と彼は尋ねた。 彼女は彼の顔を見上げると微笑み、小さく肩を竦めて再び刺しゅう台に注意を戻した。「こうしていれば手を動かし … 続きを読む

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