第116章 満ち足りた気怠さ

(翻訳者注)この章には成人向け描写が含まれます。


アンダースはセバスチャンの身体を今度は横に転がして彼の太腿に跨がり、上側の脚を持ち上げた。二人の身体からは汗が滴り落ちていた。彼らは最初たっぷりと油軟膏を使用したが、その後は伸ばした軟膏の残りと唾液、それに二人の精液が充分な潤滑剤となり、今のセバスチャンにはもはや追加の軟膏は必要無かった。アンダースが彼の中に再びゆっくりと突き入れると、セバスチャンは小さく快感の呻き声を漏らし、しわくちゃになったシーツを一瞬強く握りしめた。

アンダースは腰をゆっくり前後に動かしながら、セバスチャンの顔に浮かぶ表情を見つめた。もはや大きく身動きをしないほど疲れているとしても、アンダースの行為によって彼も未だに快感を感じているのは間違いなさそうだった。この夜の始め、まだ二人が活力に満ちていた時に、セバスチャンがどれ程大きな声で叫び彼を求めたかを思い出し、アンダースは思わず微笑んだ。
その夜の出来事、最初廊下でセバスチャンが彼に全ての選択権を与えようとしていると知った時の、畏れにさえ似た驚きに始まる全てが、既に特別な思い出となりつつあることを思い、彼は微かに身を震わせた。

彼はセバスチャンはホークと同じようにするだろうと、半ば以上予想していた。二人の間の主導権を握り、攻める側に立つだろうと。彼としてはそれでも大歓迎だった。ベッドの中で相手の為すがままとなるのは彼は全然構わなかったが、自分が御者席に座るのも大いに楽しんだ。
そしてセバスチャンが――カークウォール時代の大公となるか聖職者として残るかと揺れ動く、優柔不断な青年から一変して、決断力のある、力強い統治者として生まれ変わった――その男が、自らアンダースの欲望のままに身を任せようとする……その姿を見た時に彼に押し寄せた激情の波は、それから数時間経った今でも、まだ完全には過ぎ去っていなかった。熱した欲望と、愛情と、二人を再びこのように引き合わせた運命への感謝……それらの感情は、恐らく容易に消え失せることはないだろう。

手に抱えたセバスチャンの脚の、毛深い太腿に優しく手を滑らせ、頭をかしげてその膝の後ろにキスをし鼻先を埋めながら、アンダースは眼を閉じて今まさに過ぎ去ろうとしているこの夜の、とりわけ特別な瞬間を蘇らせた。彼のものを最初に口にしたときの欲望に満ちた熱いセバスチャンの眼差し、彼が知る限りの間ずっと純潔を守ってきた男の喉に、彼自身が深く飲み込まれていくその瞬間。セバスチャンの両手と両膝をベッドに付かせて、きつく締まったそこへの最初のゆっくりとした侵入。枕に埋めた男の口から漏れる苦痛の呻きは、しかしアンダースがごく緩やかに、出来る限りの優しさで挿入を繰り返すに従って、すぐに快感のそれへと変わった。それらの瞬間は皆、言葉に言い表せないほど素晴らしかった。

セバスチャンの身体から緊張が解け、より精力的な行為に耐えられるようになった後は、彼はさらに激しく、絶頂を求めて幾度となく挿入を繰り返した。ベッドの中でも、外でも。二人は一度、小休止と飲み物を求めて台所へ行ったが、そこで彼はセバスチャンをテーブルへ押し付けて背後からゆっくりと幾度も突き立て、二人の身体がぶつかり合う度にテーブルの足がギシギシと音を立てた。寝室に戻った後も、セバスチャンを張り出し窓のへこみに座らせて、彼の手足をアンダースの身体にきつく巻き付かせたまま二人は身体を動かした。その時はセバスチャンも再び絶頂を迎え、大声で叫びながら彼の精液が二人の腹部に滴り落ち、アンダースもさらに数回突き立てた後、彼の奥深くで達した。

今度で果たして何回目の絶頂となるのか彼は知らなかったし、数えようとも思わなかった。セバスチャンは無論ただのヒューマンの体力であるから、彼よりも遙かに少ない回数だったが、しかしアンダースは例え射精に至らなくとも大公がその夜の行為全てから何らかの形で快感を感じられるよう気を配っていた。今でさえ、疲れ切った様子の大公の男根は、しかし半ば勃ち上がってアンダースが男の中へ突き入れる度に微かにひくついていた。もう一度最後に絶頂を迎えさせることが出来そうだと彼は思った。長年の経験で彼が学んだ幾つかの芸当を使えば、間違い無く。

幾つかの芸当の中身に詳しく頭を巡らせるうちに興奮を掻き立てられ、アンダースは再び達してほとんど痙攣したように身体を震わせると、彼の男根から僅かばかりの白濁した液体を吐出した――グレイ・ウォーデンの増強された欲望と体力は、彼に幾度となく絶頂を迎えさせていたが、しかしヒューマンの身体が限られた時間内で放出出来る精液の量は限られていた。しばらくの間彼はそこでじっとして呼吸を整え、それから彼のだらりと垂れたものをセバスチャンから引き抜くと、男の太腿の上から腰を上げてベッドの上に膝を付き、二人の身体を今ではかなり汚れたシーツの端を使って、多少なりとも綺麗に拭き取った。

彼はセバスチャンと向かい合うように横たわり、男の顔を見つめた。大公はまだ起きていたが、眼は半ば閉じ、顔は満ち足りた疲労に緩んでいた。アンダースは微かに笑みを浮かべて身を起こすと、セバスチャンの額に掛かった汗にまみれた髪を後ろへ押しやって、優しくキスをした。
「まだ大丈夫?」と彼は静かに尋ねた。

セバスチャンの唇がピクリと笑みを浮かべる形に動き、微かに頭を動かして頷いた。アンダースはさらに笑みを大きくすると、ベッドの横のテーブルから水差しとマグカップを手に取り――さっき台所に行ったときに持ってきたもの――マグカップに水を注いだ。彼は半分を一息で飲み干し、セバスチャンの身体を少し起こして、残りの半分を飲ませた。

「あと一回だけ」と彼は男の首筋に顔を埋めながらささやいた。
「それから休もう。いいね?」

セバスチャンは疲れた呻きとも鼻声とも付かぬ声で同意した。アンダースは空のマグカップを横に置いて、セバスチャンの体位を注意深く変え、今度は仰向けにして沢山の枕を頭と肩の後ろに入れた。それから彼はしばらく大公の身体を愛撫しキスをしてもう少し休みを取らせた後で、両足の間に座って身を屈めると、二人が共に再び勃起するまで大公のものを自らの口に含み、舌で舐め回し吸い上げながら、片手で彼自身を弄んだ。
それから彼は座り直し、セバスチャンの両脚を大きく広げて持ち上げると、そのまま身体を前に滑らせ、ゆっくりと彼自身のものを挿入し、大きく開いた自らの脚の上にセバスチャンの両脚を置いた。セバスチャンは低く呻き声を漏らして両脚でアンダースの身体を強く挟み、メイジは姿勢を整えると力強く、短く速い動きで突き入れ、最初の頃に似た精力的な動きで激しく攻め立てた。

彼はセバスチャンの勃起に片手を添え、彼の挿入に合わせて擦りながら身を屈めて、彼自身の重みから来る圧力をその動きに加えた。セバスチャンの手が微かに動いてシーツを握りしめ、眼は固く閉じられ、頭を枕にもたせかけて仰け反り、口を開けたまま喘ぎ呻き声を漏らした。

アンダースは大公の体内奥深くへ突き入れながら頭を勢いよく振って、自らの汗でへばりついた髪を頬から後ろへ投げやった。彼は身体をさらに前に倒し、両手をセバスチャンの左右に付けて身体を支え、男の胸と肩、そして首筋にキスを繰り返した。彼の激しく突き立てる角度が変わったことで、体内の最も敏感な部分が幾度も強く押し付けられ、セバスチャンが今までとは違う切迫した声音で叫びだしたのをアンダースは感じ取った。
それはいつまでも続くように思われたが、しかし実際にはほんの数分間に違いなかった。彼は再び上半身を起こして膝立ちになり、左手でセバスチャンの男根を擦り上げながら、右手でその根元を包み込み、親指を睾丸の後ろに当て、そこの柔らかな皮膚をまさに彼自身の男根が激しく突き立てる方に向かって押し込んだ。

セバスチャンは新しい刺激に大きく唸り、彼の尻がぴくぴくと震えた。アンダースは噛みしめた歯の間からシュッと息を漏らし、下唇を噛んだ。彼自身の絶頂も近付いて来て、突き入れる速度は不規則に速くなっていった。彼は意識を集中させ、治療と精霊魔法を僅かばかり混ぜ合わせた力を、右手の親指と他の指の間でごく小さく弾けさせた。

セバスチャンはその瞬間目を見開くと、驚愕した叫び声と共に絶頂に達して、体重をアンダースの太腿と踵、そして自らの頭に預けて激しく仰け反り、その身体からは精液がアンダースの手と自らの腹部、そして太腿に降り掛かった。彼の筋肉は痙攣してアンダースの周りで激しく収縮し、彼も大きな叫びを上げると一気に絶頂を迎えた。

その後アンダースはセバスチャンのぐったりした身体の上に倒れかかり、赤茶色の体毛に覆われた胸に額を休めてただ息を整えた。このままここで眠りに付くのはとても魅力的な考えだったが、それにしてももう少し居心地の良い姿勢を取った方が良いだろうし、それにもしそうしてしまうと明日の朝二人は身体のあちこちが痛み、しかも汚らしい有様で目覚めて後悔するのは確かだった。
ようやく息を整えた後で、彼は身体を廻してセバスチャンから離れ、よろよろとベッドを出てふらつく脚で浴室へと向かった。幸いなことに彼は早い時間に湯を沸かしていて、その火はもう沢山の灰と数個の石炭の欠片となっていたが、それでも湯はまだ充分温かだった。彼は浴槽に湯を張り始め、必要な洗面用具と洗い布とタオルが近くにあることを確かめると、また寝室へと戻った。

セバスチャンはうとうとしていたようだったが、アンダースがまたシーツの端で彼の身体中に付いた汗とそれ以外のぬめりを出来るだけ拭き取ると再び目を覚ました。アンダースが二人の身体を拭き取って、疲れ果てた男を抱き上げて立たせ、廊下を辿って浴室へと向かわせる間、大公は半ば眠りながら彼に協力した。

アンダースはまずセバスチャンを支えて浴槽に入らせると、彼もその背後に滑り込み浴槽の中で男の身体を支えた。大公は頭をだらりとアンダースの肩に持たせかけた。彼はともかく石けんを塗りたくった洗い布で半分眠った男と自分の身体を、手の届く範囲で出来る限り洗った。
セバスチャンは目を覚まして何が起きているか気付くと、身体を撫でる手の感触に嬉しそうな声を上げ、メイジにすり寄りながら首元に彼の頭を擦り付けた。

手の届きにくいところを洗うため水中深く手を伸ばしながら、アンダースは声を立てて笑った。
「気に入った?」と彼は愉快そうな響きで尋ねた。セバスチャンは頷き、頭をかしげてアンダースの顎の端に軽くキスをした。アンダースは笑い、それから手を止めてお返しにセバスチャンにたっぷりとキスをした後、再び二人の身体を洗い始めた。

ともかく彼は出来るところまで二人の身体を綺麗に洗い、髪の毛も申し訳程度に洗った。とりあえず充分だろう、と彼は考えて浴槽から出て、セバスチャンの身体を湯から引っ張り上げながら、彼の尋常で無い体力に感謝していた。さもなくば半分眠っている筋肉質の男を扱うのはひどく大変なことだったろう。彼は二人の身体から水気を拭き取りタオルにくるんで、それからセバスチャンを連れて寝室へと戻った。彼は大公を張り出し窓へ座らせて身体を側の壁にもたせかけると、汚れたシーツをベッドから手早く剥ぎ取り、後で始末するために浴室の床に放り出して、ベッドの下の木箱から、箱の中に入れられたハーブの快い香りの清潔なシーツを取り出してベッドの上に広げた。

彼は同じく綺麗な寝間着も二着取り出して、先に自分で着るとそれからもう一着をセバスチャンのところへ持って行き、まるで眠たがる子供に着せ替えるように寝間着を着せてベッドへと連れ戻した。彼は再びマグカップに水を注ぎ、二人で分け合うとベッドに横になってぴったりと身体をくっつけた。ハーブと石けんの良い香りに包まれ、温かく清潔な姿で二人は眠った。


セバスチャンは目を覚ますと、最初に目に入ったのがアンダースの寝顔だったことに嬉しくなって微笑んだ。もつれ合った金髪が彼の枕の上いっぱいに広がっていた。二人の脚は温かなシーツの下で絡み合い、セバスチャンはゆったりとそこに横たわったまま、ただメイジの顔を見つめて彼が目覚めるのを待った。

一旦身体を動かせばあちこちが強張り痛むのを感じるだろうと思ったが、それでも彼が予想していたような酷い有様にはなりそうに無いことに彼は少しばかり驚いた。かつて彼は、愚かな若者だった遠い昔に、ある売春宿の娼婦―もちろん男も居た―全員と関係を持てるかという賭をして、そして勝ち、その出来事を後で耳にした父親からは大いに不興を買ったものだった。昨晩まではそれが彼の人生の内で最も激しく長い性体験だったが、何年も経った今でも、その翌日の彼が筋肉疲労からほとんど身動き出来ず、酷使された下半身の痛みに苦しんだことをありありと思い出すことが出来た。

しかし今朝は全くそういった痛みは無く、ただ漠然とした不快感が残っているだけだった。彼はそれが間違い無く、アンダースが昨晩の間に幾度か治療魔法を使ったお陰だと判っていた。充分時間を掛けて彼のきつく締まった筋肉を緩め、たっぷりと油軟膏を使ってさえも、最初の挿入がどれ程痛みを伴ったか彼は良く覚えていたが、しかしそれからすぐにアンダースが優しく彼に指を当てて、温かな治療魔法の波が彼の身体に広がり、緊張した筋肉をほぐして痛みを消し去った。その後、メイジが貪欲に繰り返し彼を攻め立てる間も、本当に僅かな痛みを感じるだけで、それもすぐに癒やされた。

昨晩の行為を思い出してセバスチャンは頬を赤らめた。全ての選択権をアンダースに与え、男が彼に望む全てを受け入れることにしたのは本当に良かった、とりわけメイジがその方面に関してすこぶる付きに巧みで、想像力豊かだと判った後では。心の中で昨晩のことを再生しながら、彼は股間にほんの僅かばかりの疼きを感じた。無論今日ではあり得なかったが――いつか彼らは、その記憶にある行為を再び繰り返して大いに楽しむことだろう。彼は再び微笑み、期待から心地良く身震いをした。

アンダースはほとんど目を覚ますところだったに違いない。その微かな身動きに彼はぽっかりと目を開けるとセバスチャンに微笑みかけた。
「今朝の気分はどう?」とメイジは、まだ眠たさの残る声でゆっくりと尋ねた。

セバスチャンは温かく彼に笑った。
「あちこち強ばってて、痛い。だけど身動き出来ないほどじゃない」

アンダースは寝返りを打って仰向けになり大きな声で笑うと、頭をセバスチャンの方に向け白い歯を見えて愛しげに笑いかけた。
「身動き出来ないほどじゃないか!そりゃあいい!もし良かったら強張りと痛みを取ることも出来るよ」と彼は付け加えると、絡み合った脚を解いてベッドから滑り出た。
「とはいっても先に小用を済ませたいけど。それに動物達もそろそろ朝飯の時間だ」

セバスチャンは唐突に彼の膀胱からの不平の声に気付いて唸り声を上げた。
「私もそうした方が良さそうだ」と彼は答えた。

アンダースは頷いて言った。
「先に行って良いよ、僕はお茶を入れる湯を沸かして犬達を中に入れて、その後にするから」

セバスチャンは頷いて浴室へと向かい、昨晩の行為の後二人で心地良く風呂に入り、アンダースが身体を綺麗に洗ってくれたことを思い出して笑みを浮かべた。温かなお湯の寛ぎ、アンダースの石けんのバルサムの香り。彼の肌を洗い布が滑り、彼らの初めての夜から不快な要素を全て洗い流し、快い記憶と満ち足りた気怠さだけを残していった。

彼はベッドに戻ると、また眠りに引き戻されそうになったところへアンダースが長い盆を抱えて戻ってきた。二人はベッドの中で朝食を取った――厚切りにした冷たいハム、バターを塗った温かなパンとチーズ、それに熱い紅茶。彼らはベッドの中で隣同士に座り、盆を膝の上に置いて食べた。朝食をがっついた後で犬達も台所からうろうろと入ってきて、ベッドの側の床に行儀良く座り込み、取り立ててねだりこそしないものの、おとなしくじっと待っていれば、きっとその内ハムかパンか、チーズの欠片が彼らの目の前に現れると良く知った表情だった。

「犬達に悪い癖を付けているぞ、お前は」とセバスチャンはメイジを叱ったが、その言葉に反して顔には愉快そうな笑みが浮かんでいた。

「かまやしないさ、何たって僕の犬なんだから」とアンダースは朗らかに言った。セバスチャンは鼻で笑ったが、二人が盆を片付けるときには――もちろんアンダースが大部分を食べ尽くした――彼も美味しい朝食の欠片をいくらか、犬達にそっと投げてやった。

アンダースは盆を片付けると、セバスチャンの寝間着を脱がせて腹ばいに寝かせた。彼はセバスチャンを手で揉み始め、それからほんの少しばかり治療魔法を使って、大公の身体に残る強張りと痛みを除くよう努めた。セバスチャンは静かに横たわりアンダースの熟練した手技に身を任せ、とりわけ痛む筋肉が不平を言うのを止めるにつれて、気持ち良さに時折枕に向かって唸ったり呻いたりしていた。もし彼が猫だったら喉をゴロゴロ鳴らしていただろうと彼は思い、そのとき本当にゴロゴロという音が聞こえることに気付いた。アッシュがいつの間にか彼の顔の反対側で箱座りをしていて、目を細めヒゲが喉を鳴らす度に微かに震えていた。彼は短い笑い声を漏らし、居眠りを邪魔された猫の腹立たしげな目つきと、背後からのくすくす笑いに続いて、メイジが上から彼の背筋にキスをした。

「ずっとここで一日中こうして居られればな」
セバスチャンはしばらくして、本当にそう出来れば良いのにと思いながら言った。

「もちろん僕は反対しないよ」とアンダースは、その声から明らかに唇に笑いを浮かべて言った。

セバスチャンはクスッと笑い、それから身体を廻して片肘を下に身を起こすと、メイジの顔を温かく見つめて笑った。
「いつかそうする時間があるときには。だが今日は……」彼は言葉を切ると溜め息を付いた。
「やるべき事が多すぎるし、心配事も数多い。上に戻って着替えをして、仕事を始めなければ」

アンダースはゆっくりと頷いて、膝立ちの姿勢から脚を折り曲げて座った。
「僕もそろそろ着替えをしないといけないな――もうすぐ診療所に向かう時間だ」

セバスチャンは頷き、立ち上がると身を屈めて、メイジと長いキスを交わした。
「昼食の時に会おう」と彼は優しく指でメイジのまだもつれた髪を梳きながら言った。

彼は寝間着を被ると部屋から出て行こうとして、クローゼットの扉を開けながら立ち止まると振り返ってアンダースを見つめた。
「また次の機会を楽しみにしているよ、今度は私のベッドで。お前をすり減らすことが出来るかどうか、やって見なくてはな」と彼は片方の眉を高く上げメイジに向かってすました顔で言うと、さっと身を翻して、背後から聞こえるアンダースの楽しそうな笑い声にニヤリと笑いながら階段を登っていった。

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第116章 満ち足りた気怠さ への2件のフィードバック

  1. EMANON のコメント:

    ダル━━⊂⌒~⊃。Д。)⊃━⊂⌒O。Д。)⊃━O(。Д。)O━⊂(。Д。O⌒⊃━━!!

    この1章読んだだけで筋肉痛になりそうです。ダルーorz

  2. Laffy のコメント:

    とりあえず、終わった……(´・ω:;.:…

    いやまだ燃え尽きては居られません。
    この後がまだ有るんだ、立て~!立つんだジョー!(誰だよ

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