第131章 救助

セバスチャンは彼の書斎で、椅子の背もたれにもたれ掛かり眼を擦った。三日前にアンダースが姿を消してから彼はほとんど眠れなかった。安らかに休息を取るにはあまりにメイジの安否が気がかりでならなかった。短い眠りの中でしばしば見る悪夢は、アンダースの身に起きているかも知れない事柄の極めて鮮やかな映像を描き出し、それを見る度に彼は恐怖に飛び起きた。それがただの悪夢、非現実的な映像だと自分に言い聞かせることさえ彼には出来なかった――メイジに対する支配や懲罰のため、あるいは単にそうしたいからという理由でどれほど酷いことが行われうるか、彼は知りすぎていた。

アンダースの誘拐に対する動揺をろくに覆い隠せていないことに彼は気がついていて、心のどこかではもっと上手くやらなければいけないと判っていた、アンダースが戻った後で後悔することのないように……しかしその他の部分はそんなことに構っては居られなかった。もしあのメイジが、二度と彼の元に戻らないとしたら。

子供達でさえ彼の態度が普段と違うことに気がついていた。昼食に彼らが彼の居室を訪れた時のことを思い出し、彼は悲しげに笑った。昼食後に彼らは皆床に座ってティーグと遊んだが、ハエリオニとガンウィンは遊びに加わるよりも、しょんぼりと床に座っていることの方が多かった。

ユアンがしばらくして座り直し、二匹の犬達を眺めやった。
「犬達が悲しがってるみたいだ」と彼は言った。
「きっとアンダースが居なくて寂しいんだよ。いつ帰ってくるの?」

「判らない」とセバスチャンは答えた。およそ完璧に平静な声でとは行かなかった。
「ゼブランとフェンリスが彼を見つけて家に連れ帰るために出かけている。だけど彼がどこへ居なくなってしまったのか、判らないからね」
居なくなった。連れ去られた、とは言えなかった。子供達のお気に入りの人物に何が起きたのかを説明する泥沼にはまり込むのは避けたかった。

「あなたもアンダースが居なくて寂しい?」とナイウェンがセバスチャンをじっと見て尋ねた。

「ああ、私も寂しい」とセバスチャンは静かに答えた。

子供達の質問が彼を悩ませていると気付いたメリドワンが、速やかに差し障りのない話題に変え、それからすぐ子供達に部屋に戻っていつもの授業を受ける時間だと諭した。

子供達が出て行った後、セバスチャンは落ち着きを取り戻そうとしばらくの間寝室に引きこもった。しかしそこも、彼らがそのベッドで僅か数回共にした夜の、愛情と安らぎをありありと思い出させた。それでもどうにか彼は気を取り直して書斎に戻り、待ち受ける書類の山に取りかかった。
普段通り書類に眼を通しては署名し、あるいは後で調査するために取り分け、あるいは自ら返事を書く、いつもの繰り返し作業に没頭しようとしたが、それで気が紛れるものではなかった。
アッシュが机の隅でうたた寝をしながらゴロゴロ喉を鳴らす音も、何の慰めにもならなかった。猫の存在はむしろそこに存在しない人物のことを思い出させた。彼が書類から眼を上げて部屋の隅を見る度に、彼が仕事をしている間メイジがよく座って本を読んでいた空っぽの椅子が眼に入り、彼の胸を鋭い痛みが走り抜けた。

ノックの音の後で衛兵が入ってきて、階下の玄関を訪れたドゥーガルが彼と話をしたいと言っているというのを知らせに来た時、彼はむしろ仕事を中断させるものを歓迎する気分だった。
「彼をここに通してくれ」と彼は微笑みながら答えた。衛兵は頷いて部屋の外に戻った。

ドゥーガルは数分後に、如何にも落ち着かない様子で入ってきた。
「ヴェイル大公」彼はそう言うと、折り畳まれた羊皮紙を差しだした。
「これが今日、シスター・マウラに届けられました……大教母様からです」

セバスチャンは不意に身を起こし、立ち上がってドゥーガルの手からその紙を受け取ると、封印のロウを剥ぎ取って紙を開き、中に書かれた数行の文字に素早く眼を通した。彼の表情は暗く厳しいものに変わった。彼はそれをドゥーガルに手渡した。男は驚いた様に彼を見つめた。
「君も読め」と彼は厳しい声で言った。
「この件に関する証人として」

ドゥーガルはその紙切れを見おろし、声を出して読んだ。

救助を求めます
この状況はもはや耐えられません

ドゥーガルは顔を上げて大公を見つめた。
「どうなさいますか、閣下?」と彼は不安げに尋ねた。

「頼まれたことをするまで。診療所に戻ってシスター・マウラを連れてこい。彼女に怪我の手当てが必要となるかも知れないから、治療用の鞄も一緒に持って来るようにと伝えよ。彼女をここへ……いや、待った。彼女を謁見の間へ連れて行け。他の者も連れていく必要がある」

彼はドゥーガルと一緒に居室の外に出て、衛兵の一人をセリン隊長を連れに走らせ、もう一人に伝令として走らせるため、スタークヘイブン・グリーンのお仕着せを着た召使いを数人連れてくるようにと命じた。それからしばらく居室の中でうろうろと歩き回りながら、救助の実行部隊として、あるいは証人として誰が必要となるか忙しく頭を巡らせた。そうこうする間にセリン衛兵隊長が、数名の召使いを引き連れて居間に入ってきた。

「これらの人々に、非常に重要な用件だと伝えよ」と彼は伝令達に言った。
「一時間以内に、謁見の間に必ず参列するようにと」
彼は書写室にいるテンプラーの代表と、同じく街の新区画で働くメイジを警護する一行の隊長、それに有力な貴族を何人か――その内の二人は彼に対してさほど好意を持っていないことは知っていたが、しかし高潔さで名高い人々――と、最も尊敬されているギルドマスターを三名、更にアンズバーグとタンターヴェイルからの避難民の代表をそれぞれ一人ずつ、大急ぎで連れて来させるように命じ伝令を送り出した。彼らは皆スタークヘイブン・グリーンの‐彼の家中の‐お仕着せを着用しており、誰からの招集かは一目で判った。

伝令が立ち去った後でようやく彼は、招集を掛けた人々が到着次第彼がどうするつもりかを手短にセリン隊長に説明した。衛兵隊長は頷き幾つか質問をして、それからその計画に必要な部下達を集めるために急ぎ足で退室した。それからセバスチャンは手早く入浴し、彼の鎧に着替えた。謁見の間へ降りていく彼の姿は、一部の隙もない大公その物だった。

彼が招集した人々は既に大きな部屋のそこここで集まっていた。テンプラー達は姿勢を崩さず静かに立ち、貴族やギルドマスターは不思議そうな面持ちで小声で話しあい、他の人々はあたりを不安げに見渡しながら立っていた。彼らは皆、セバスチャンが入ってきて玉座の隣に立つのを見て静まりかえった。

「あなた方の参列に感謝します」とセバスチャンは良く通る声で言った。
「あいにく、ここへ呼び集めた理由を今説明することは出来ませんが、あなた方に中立の立場で証人となって貰う必要のある事柄が起きるでしょう。私に同行し、これから起きる事によく注意を払って見て頂くことだけを願います。ありがとう」と彼は言うと、顔をテンプラーの一行に向けた。

「今日ここにいるテンプラーの上位の方、玉座の前へどうぞ。衛兵隊長セリン、同じくここへ」

テンプラー達の間で短くささやき合う声が聞こえ、それから一人がセリンと共に彼の前へと進み出た。彼は手短にその男――ロレンス騎士団長の部下で、新区画の建築現場で働くメイジ達に同行したテンプラーの隊長トーマスだと判明した――に、大教母の置かれている状況について判っていることを説明し、それから彼が受け取った手紙を見せた。騎士隊長トーマスはシスター・マウラに質問しても良いかと尋ね、彼女の知る限り確かにこの手紙は大教母の筆跡に間違い無いと確認した後で、セバスチャンの救出計画に同意した。

騎士隊長と衛兵隊長は共に彼らの部下の元に戻り、セバスチャンは数分後に彼らを従えて謁見の間を出た。証人として選ばれた人々が彼に同行し、その後方に武装した衛兵とテンプラー達の一個小隊が付き従った。セバスチャンは一行を先導して城を出ると教会へと丘を下って行った。

彼は教会の会堂で立ち止まり、日勤を行っていたシスターの一人を呼んだ。
「大教母様にお伝え下さい、このような直前にお邪魔をして申し訳ありませんが、至急彼女にお伝えしなくてはならない事柄があります」
彼の良く通る声は間違いなく会堂内に響き渡り――彼に同行した人々も、他の理由でそこに居た人々も――皆が彼の言葉をはっきりと耳にした。

シスターは驚いた様に見えたが、しかし頭を小さく下げ慌てて立ち去った。セバスチャンはその場に立ったまま辛抱強く待った。大司教オディールの配下が何を企んでいるにせよ彼がこうも公然と面会を申し込めば、大教母が彼に謁見するのを認めない訳にはいかないと思われた。
案の定、さっきとは別のシスターが彼の元にやってきて、おどおどとした様子で大教母はもうすぐ降りてくると伝えた。セバスチャンは頷き、待ち続けた。

テンプラーの小部隊が会堂に入り扉の両側に立った。それから大教母が数名の聖職者と共に現れた。一人を除いて皆オディールの配下だった。彼女は静かに歩みを進めた。もし彼がよく見ていなかったら、彼女の歩く姿の僅かなぎこちなさと眼の曇りには気がつかなかっただろう。苦痛と、それを覆い隠し彼女が動けるようにするための強力な鎮痛剤だろうと彼は想像した。

「大教母グリニス」と彼は言い、礼儀正しく彼女に頭を下げた。

「ヴェイル大公」と彼女が答えて頭を小さく下げた。
「私にお話したいというのは、どういう事柄でしょうか?」

「つい先ほど、私は一通の手紙を受け取りました」と彼は言い、そしてごく微かに彼女の表情が変わるのを見た。
「その中にあった知らせについてあなたのご意見を直接伺うのが一番と考え、ここに参りました」
そう彼は言って、ベルトの小物入れから折りたたんだ羊皮紙の切れ端を取りだし、片手で差しだした。

グリニスの周囲を取り囲む聖職者の一人が、その紙を捕まえようかとするように前へ進み出た。セバスチャンは紙を握りしめ、その女性を冷ややかな表情で一瞥した。彼女は彼と、その背後で不思議そうに彼女を見つめる大勢の人々を見回し、それから顔を真っ赤にして元の場所へ引き下がった。不意に、取り巻きの聖職者達の間に張り詰めた雰囲気が漂った。彼は再び手を伸ばし、紙切れを受け取るためグリニスが前に進み出た。

その瞬間彼はグリニスの手を掴んで引っ張り、取り囲んでいる聖職者達から引き離すと、突然引っ張られてバランスを崩した彼女の身体を支えた。彼女の真後ろと左側にくっつくように立っていた聖職者二人の右手に、握りしめられた短剣が露わになった。証人達は彼の唐突な行動に対して、あるいは短剣を眼にして、グリニスが脅威に晒されていたことに気付くとはっと息を飲み、あるいは驚きの叫びを上げた。

セバスチャンは速やかに大教母を自らの背後に庇うと聖職者達の前に立ちはだかった。彼の衛兵が走り寄り、グリニスと証人達をオディールの人々から護るために周囲を取り囲んだ。
「トーマス騎士隊長!」セバスチャンは鋭く呼ばわった。
「シスター・マウラと共に、ここにお集まり頂いた証人の前で、大教母のお身体の検査とご容体の確認を求めます。さらに、その調査が終了するまでこれらの人々の身柄確保をお願いしたい」と彼は目の前の聖職者達を鋭く睨み付けながら手で指し示した。

彼と同行したテンプラー達が前に進み出て速やかに聖職者達を取り囲み、短剣を取り上げた。会堂の玄関に立っていたテンプラー達はどうして良いものかと慌てふためくようであったが、そのうち一人が大急ぎでその場を離れ、恐らく自分たちの隊長に指示を仰ぎに行ったようであった。

セバスチャンは振り向き、大教母が彼女自身の検査に協力する間、可能な限り表情を表に出さず見守った。最初のうちは別段問題は無いように見えたが、分厚いローブを脱いだ後で彼女は薄手のアンダーローブの袖口を静かに捲り上げ、数々の痣を見せた。更に袖無しのシャツ一枚の姿になると、彼女が服を脱がされていく様子に居心地悪そうにしていた証人の人々も一転して憤慨した怒りの声を上げた。彼女の腕や脚の至る所に明らかな暴行の痕跡があった。グリニスはその過程中頭をまっすぐ上げ、例え下着一枚であっても静かに威厳有る態度を保った。

「これで充分であろうと考えます」とセバスチャンは部屋の中の人々全てに向けて言った。
「この他にも、我々が見る必要があると思われる傷跡がございましょうか、大教母様?」

グリニスは小さく頷き背中を彼に向けると、マウラに静かに話し掛けた。シスターは彼女のシャツの背中を持ち上げ、そこに残る跡を示した――どこかの時点で彼女は鞭の様な物で殴打を受けていて、その跡がはっきりと背中に残っていた。彼女はそれから振り向き、マウラが手伝ってローブを元通りに着せた。

「一体誰が、何故あなたにこのようなことを?」と貴族の一人が、側でテンプラーに取り囲まれている聖職者達に疑いの眼差しを向けながら尋ねた。

「オディール大司教の命により行われたものです」とグリニスが答えた。
「ディヴァインのある計画に協力することを私が望まないと知り、このような方法で翻意させようとしたのです」

「計画?どのような計画ですか?」別の一人が鋭く尋ねた。

「色々ありますが、中でもフリー・マーチズの征服計画について」とグリニスが答えた。
「オーレイの名の元にではありません――そのような支配にマーチズの人々が決して容易く従うはずのないことは、ディヴァインとて判っています。その代わりに彼らは、ヴェイル大公にある提案を行いました。大公がディヴァインに忠誠を誓い、フリー・マーチズを手始めとしてアンティーヴァ、リヴァイニそしてフェラルデン、そしてテヴィンターあるいはクナリに対する総攻撃へと続く彼女の征服計画に協力するならば、彼をフリー・マーチズの王の座に着けようという提案を」

「チャントリーはそのような提案などしておらぬ!」と一人の聖職者が怒った声で叫んだ。
「一辺の証拠も示せぬことは判っている……」

もちろん確かな証拠などありませんとも!」とグリニスが切り返した。
「口頭でのみ語り合われた事柄を否定するのは実に容易い、そうでありましょう?ですから、証拠などありません――そのような提案が行われたという、ヴェイル大公のお言葉以外には」
セバスチャンは同意の印に頷いて見せた。

「そして私の証言の他は。私はアンドラステとここにおられる皆様の前で誓いましょう、そのような提案が為されたその場に、そしてそれが退けられた場にも私が居たことを」と彼女は背筋を伸ばすと鋭く付け加えて、再びセバスチャンに向き直った。

「ヴェイル大公、この時期を得た救助に感謝申し上げます。近頃ではもはや私の命さえ危ういものと思われ、大司教が私を監督するために残した……この人々から身を守る術は他にありませんでした」

セバスチャンは彼女に頭を下げた。
「お力になれましたことを嬉しく思います、大教母様。そしてここからは、チャントリー内部の序列に口を差し挟むこととなりますゆえ、私は退きましょう。しかしながら、これよりこの聖職者達をあなたの管理下に置かれるに当たって、私の配下にあります衛兵隊長セリンとその部下達に一時的に協力させても宜しいかと考えます、もし私と同行しましたテンプラー達だけでは不十分と思われましたならば」

「感謝します、ヴェイル大公」と彼女は言った。
「こちらのテンプラー達で充分手は足りましょう」と彼女はそこに集まったトーマス隊長以下のテンプラー達を見やって付け加えた。
「ですがよろしければ、あなたの衛兵と、こちらにいらっしゃる立派な方々にも残って頂き、ここで行われます全ての事柄を出来る限り公のものとして、何事につけても充分信用に足る証人となって頂きたく思います」

セバスチャンは彼女の要望を受け入れる印として再び浅く頭を下げ、会堂の正面から一歩下がって他の証人達と並んで立った。彼の衛兵達も同様に壁沿いへ下がり、代わりに騎士隊長トーマスと彼の部下が彼女の側に歩み寄った。彼女は素早く一連の指示を発した。

数分後にようやくオディールが残していったテンプラー達の隊長が駆けつけた頃には、もはや彼自身が拘束されるのに対して抗議する時間すら与えられなかった。かなりの数の彼の部下もやはり拘束された。残った者達はトーマス隊長の指揮下に組み入れられることに大いに安堵した様に見えた。
あっと言う間に教会内の全ての人々が、下働きの少女に至るまで全て会堂内に呼び集められ、三つの集団へと分けられた――オディール配下の者、グリニスが信用するもの、そして信用出来るかどうか判らない者へ。

グリニスは再びローブを脱ぎ、全ての人々が彼女に行われた行為を見ることが出来るよう、両腕を高く差し上げてその場で身体を一回転させた。それから彼女はオディール大司教がスタークヘイブンに到着してから彼女の身に起きた事柄について、明快な言葉で全てを語った。

「もはや私は、オディール大司教の、あるいは現在のディヴァインの権威にも従うことは出来ません」と彼女は締めくくった。
「彼らが聖別 1を受けた教会の指導者に対して、このような不当な扱いを承認するどころか、煽り立ててさえいるような時には。私はここで起きた事柄の概要と、それに対する私の意見を書き記した手紙をディヴァインへ送りましょう、同時にその複写をテダス全土の主要な教会にいる、私の姉妹の教母達に向けて」

オディールが残した聖職者達の長が他の人々を押しのけて前へ進み出た。
「チャントリーに対する反乱に参加しようというのですか!」と彼女は憤りのあまり足を床に踏み鳴らすばかりの勢いで叫んだ。

グリニスは姿勢を正し振り返ると、その女性を冷ややかに見つめた。
「いいえ。私が反対するのは、私欲を満たすためにチャントリーを征服のための道具に変貌させようとするディヴァインに対して。私はチャントリー自身に、そしてアンドラステ様に対する信仰を貫きましょう」

「よくぞ言われた」一人のギルドマスターが賛同するように呟いた。

大教母が彼女の教会に秩序を取り戻すにはかなりの時間が掛かった。自らが信用する人々を主要な地位に戻し、オディールの手下全てを拘束したとようやく彼女が満足した頃には既に夜も更けようとしていた。その頃には彼女に与えられていた鎮痛剤の効果も薄れ、明らかに苦痛を感じているようだった。彼女は再びセバスチャンと証人として呼ばれた人々に感謝の意を告げると、シスター・マウラと信頼の置けるテンプラー達数名と連れだって自室へと戻った。

セバスチャンも教会を出て証人達に感謝を述べ、それから彼の護衛と共に城へと戻った。全てのことを片付けるまでにはまだこれから数日は掛かると思われた――拘束されたテンプラー達と聖職者をどのように扱うかを含めて。今のところは監視下にあるが、長期的には何か対策を考える必要があった。恐らくタンターヴェイルに船で追いやってオディールに合流させるだけで充分だろう。もちろん、それはグリニスが決めることだと、彼は自らに言い聞かせた。

寝室に戻った時には彼は疲れ果てていたにも関わらず、日中の緊張が一時覆い隠していたアンダースの身の安全に対する恐怖が再び彼を苛み、幾時間も寝返りを繰り返した。それから極度の疲労が、不安と悪夢に満ちた眠りへと彼を突き落とした。


Notes:

  1. anointed: 聖油を塗る等、聖なる存在として認める行為。聖職者の任命式に当たる。
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第131章 救助 への2件のフィードバック

  1. EMANON のコメント:

    セバちゃん安心しろ!姫は飯かっこんでるぞ!w
    足に穴開いてるけど!wとりあえず祈れ!www

    後は手のひらに人って書いて飲み込むと良いらしいぞ(それ違う

  2. Laffy のコメント:

    おおっとこちらにも※頂いていたのに。セバちゃん大喜び。よかったねえええw

    あー次が134章だ。もう終わっちゃうのか(しんみり
    てゆーか走り出した時ここまで来るとは思ってなかったですよ。ほんに。

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