17.大成功!地底回廊探検隊が帰還!

ホーク兄弟は地底回廊の探検隊に参加させて貰えませんでした。


フェンリスはギャムレンを好きになったとは言えなかった、多分ギャムレンのワインに対する下心が見え透いていたせいだろう。彼は俺の家にしょっちゅう来るようになった訳じゃないが、彼を直接招待して断られたことは一度も無かった。何にせよ、今すぐ花から花へ飛び回る蝶のような社交家に彼を変えるなんて無理な話だ。
彼はハングド・マンのヴァリックの部屋も時折訪れていた。彼らは上手く行っているようだった、もっともヴァリックと上手く行かない人物は、彼の長兄だけだが。

エメリックは事件の後数週間、病院に入院していた。有る夜、彼はテンプラーの友人を数名俺の家に寄こし、俺は心底震え上がった物だ。何のことはない、彼らは俺にこの事件への協力に対する感謝と、子猫の面倒を見てくれた事についても幾らか金を渡しに来たのだった。
俺は後の方の金をアンダースに渡した。彼はその金の出所を知った時びっくり仰天したようだったが、ともかくそのお陰で彼は子猫を手元に置いておく言い訳が出来て、彼らは先住猫のプァーシヴァルの良い遊び相手になった。

それからしばらくして、バートレンド教授率いる探検隊が大体のところは無事に帰還した。新聞は大いに興奮して連日大見出しで書き立ててたが、ヴァリックはこれっぽっちも興奮していなかった。彼はあらゆる歓迎行事を避けて通り、報道関係者が引き上げた後でようやく彼の兄に会いに行った。探検隊はあいにく金ぴかのダイアモンドの塊は持って帰ってこなかったようだが、それでも新聞には精緻なドワーフの工芸品やダークスポーンの遺産と思われる品々の素敵な写真が幾つも載っていた。ほら、壺とかコインとか、宝石の埋まった剣の柄とか、美術館に行けばガラスケースに収まっているような類のものだ。

俺はヴァリックに、兄貴が何か土産物を彼に持ってきたかと尋ねたが、彼は珍しくしかめっ面をして、バートレンドは代わりに頭痛の種を持ち込んだと言った。ヴァリックは何か気がかりな事があるようだったが、俺達に話したくはないようだった。
俺の推測じゃあ、あの兄貴はヴァリックに探検隊の費用をたっぷり借りているんだ。バートレンドの勤める大学は、結局のところ費用の一部しか出さなかったって話だからな。

アンダースは俺達にストライキ中の労働者の行進に加わるよう誘った。何か面白いことは無いかとカーヴァーと俺は何度か参加したが、大抵は憂鬱な顔つきの鉱山や鋳物工場の労働者が、時折声を上げながら歩いているだけだった。
俺は彼らに同情しない訳じゃなかった、俺だって金が有り余っている訳じゃないからな、だけどアンダースにも言ったように、俺は自営業者で、自分でビジネスをやってる、俺はストライキを起こされる側じゃないのかってな。

アンダースは、俺にもっと沢山のパンフレットを手渡した。

フェンリスも時折ハングド・マンで俺達の集まりに顔を見せたが、ひとたびアンダースの顔を見つけたら、彼は肩を竦めて後ろも見ずに立ち去った。冷淡なこと氷のごとしとは彼のことだ。だが一方では、彼らが口論するのを聞く羽目になるよりはマシなのも確かだった。


ある晩、俺達は何時ものテーブルに陣取っていた。アヴェリンは夜勤で、メリルは女性意識向上集会に出席していたため、男達だけの夜だった。全部で4人しか居なかったから、ちょっとばかり寂しい雰囲気が漂っていた。

それでもヴァリックは多少機嫌を治していて全員に一杯ずつおごってくれて、俺達は楽団の奏でるジャズに耳を傾け煙草を吸いながら、何時ものように話をしていた。

「子猫のために金をくれたのも彼だぜ、アンダース。彼は大丈夫さ」と俺はアンダースに言った。
カーヴァーはどうやらエメリックに懐いたようで、入院中にも時々見舞いに行っていた。彼にメイジでない父親像を見ているんだろう、と俺は考えていた。

「彼らが全員ひどい人々だとは言っていない。ただ彼らは誠心誠意、ひどいことをするんだ」

「そんときその男が俺の店に入って来てな、やっこさんは誰か良い編集者に伝手は無いかっていうのさ。彼は何か物を書いていて、それを売れば二人とも大儲けが出来るって」

「そんな連中はしょっちゅう居るのかい?」

「月に二回は来るね、少なくとも」

「君はエメリックが、なんだ、彼が護るべきメイジを拷問しているとでも言うのか?」

「問題なのはそのシステムなんだ、人々じゃない。だけどその構造自身と僕らは戦わなくちゃいけない」

「それで俺は言ってやったさ、半時間空いてるから彼の書いてる物を見せてくれってね。やつはそこで座って、俺が読んでるのをじっと見てた」

「俺だってギャロウズは好きじゃあ無い、だがあそこのテンプラーがメイジを護って居るとすれば――」

「その話がこの戦記物だったってわけだ、面白いだろ。イケてるタフガイがダークスポーンを叩きのめし、後方支援のグラマーなフェラルデン娘を救い出して――」

「彼は兄貴がメイジだってことを知ってる、それでも何も言わなかったじゃないか」

「俺に何をして欲しいんだ、カーヴァー?平穏化について語ってくれとティータイムに誘うのか?」

そして俺達のテーブルは静まりかえった。

女性が一人、その部屋に入ってきた。静まりかえったのは俺達のテーブルだけじゃなかった。彼女は胸繰りの大きく開いた黒いサテンのドレスを着ていて、ヒラヒラしたレースの飾りが付いた裾は彼女の膝丈にも届いていなかった。波打つ焦げ茶色の髪を羽根と燦めく宝石が飾り立て、首には豪勢な金ぴかのネックレスが掛かっていた。彼女はまるで何もかも分かっているような颯爽とした歩きぶりでケツを左右に振りながらカウンターに近寄り、髪を掻き上げると片方の肩に乗せ、微笑みながらバーテンダーに手を振った。

「この辺じゃあ始めて見る顔だな」とヴァリックが言った。
「見たことがありゃあ、絶対覚えているはずだ」

花に虫が寄ってくるように、彼女が一人だけで居たのもそう長くはなかった。まったく、俺が勇気を奮い起こして彼女に近寄ろうとした途端に、3、4人の男達が彼女にぶらぶらと近寄っていった。彼らの態度からして、どうやら彼女のことを知っているようだった。彼女も間違い無く彼らが誰か知っているようだ。

彼らは一言二言言葉を交わした。会話の内容は聞き取れなかったが、彼女の唇がせせら笑う様に曲がった。どうも楽しい再会じゃあなさそうだ。俺には男の一人が拳を掌に打ち付けるのが見え、一触即発の雰囲気を感じ取った。

俺が席を立とうとした瞬間、ヴァリックが俺の腕を掴むのを感じた。
「落ち着け、トリップ」と彼は言った。「用心棒がいる、素人が手を出すこたあねえ。その他にも」と彼はニヤリと笑った。
「25シルバー掛けても良いぜ、あのお嬢さんなら自分で何とかする」

男達の一人が彼女の腕を掴もうとした時、彼女は振り返ってグラスの中身をやつの顔にぶちまけ――ハングド・マンのカクテルの中身を考えれば、メクラになってもおかしくはねえ 1――そして彼女の膝が、別の男の局部に叩き込まれた。俺はまだぼうっと突っ立っていて、肩を押さえつけようとした背後の男の脛を彼女がヒールで蹴飛ばし、思わず前屈みになった男の顔面に後頭部を叩きつけるのが良く見えた。

鼻血を垂らしよろめきながら、男達が皆彼女の前から逃げていくまで、そうだな、16秒掛かっていたかどうか。彼女は涼しい顔で、俺達のテーブルも含めてあたりの野次馬を見廻し、それからクルリと眼を回して、ようやくもめ事の収拾に駆け寄った用心棒達の目の前を、まるで何事も無かったようにぶらぶらと歩み去った。彼女を押しとどめる度胸のあるやつは誰も居なかった。

俺はどさりと椅子に沈み込んだ。

「今見たのは、一体何だったんだ?」とアンダースが尋ねた。

「おい!」カーヴァが俺の目の前で手を振りながら言った。「トリップ?トリップ!」

「……なんだ?」

「兄貴の考えてることは分かってるぜ。彼女は歩くトラブルメーカーだ。あの女には近付かない方が良いぜ。前にも似たような女がいたよな、あの車に乗ってた娘、覚えてるか?俺が言わなきゃあ、兄貴は農場まで売らんばかりだった」とカーヴァーが偉そうな口調で言った。

「俺の農場じゃ無いのに売れる訳が無いだろう、それにあんとき俺は12歳だった」
俺はそう言うと顔を両手でこすった。

「大体兄貴はあんまり女の趣味が良くないぞ。まだあのエルフの方がマシな位だ」

「何のエルフ?」とアンダースが尋ねた。

俺はカーヴァーに向けて眉を上げてみせた。こいつはまさか俺達兄弟の協定を忘れたんじゃないだろうな?

「何でも無い」カーヴァーは呟いた。

「気にするなって」と俺は言った。
「彼女は行っちまった、俺達の誰でも、彼女をまた見かけることがあるとは俺には思えないな」

その頃には俺はとっくに気が付いていても良いはずだった――トラブルは俺のところに、向こうから押しかけてくると。


それはすぐにやって来た。

次の日、俺は仕事場でフェンリスに、彼が提案した練習試合の件を思い出させた方が良いかどうかとぼんやり考えながら座っていると、トラブルが俺の家の玄関ドアから歩いて入って来た。

いや、入って来たのはもちろん女だった。彼女は昨晩とは違うドレスを着ていたが、やはり彼女がコートを肩から降ろす間に、彼女の形の良いふくらはぎと足首が俺の目を引いた。彼女は琥珀色の眼で俺を興味深そうに見つめていた。

「こんにちは」と俺は言った。

「こんにちは」彼女は愉快そうな声音で言った。
「今は営業時間中、そうよね?そしてここは探偵事務所、でしょう?」

「ああ。すまない、どうぞ席に座って。コートを頂きましょう」

ドアの側のスタンドに掛ける時に彼女のコートから香水の香りが漂い、俺は気を落ち着けようとした。俺が振り向くと彼女は俺の机の、向かい側の椅子に座って形の良い脚を高々と組んでいた。
落ち着け。彼女はクライアントだぞ。

「トリップ・ホーク、私立探偵」と俺は彼女に言った。

「私はイザベラよ」その後に、姓が続くようには聞こえなかった。

俺は笑顔を見せると椅子に腰掛け、彼女は銀色のケースから煙草を取り出した。
「それで、どのようなご用でしょうか、イザベラさん?昨晩の様子だと、およそ人の助けが居るような人には見えませんでしたが」

彼女は少しばかり眉を上げた。
「そうよ、どこかで見たことがあると思ったの。私を助けに入ろうとしてくれていたのよね、そうでしょう?」彼女は身を乗り出して俺に笑いかけた。俺はどうにか彼女の眼を見た。
「今のような時代に騎士道精神を持った人は珍しいわね。こういう仕事をしていてもおかしくないって気が付くべきだったわ」

「あー、その、出来ることをやっているだけで」と俺はようやく言った。

「火を貸して下さる、トリップ?」

俺はマッチを擦って差し出し、彼女は俺の前で前屈みになって火を煙草に移しながら、その完璧な胸の眺めを惜しげもなく提供した。男なら一週間はたっぷり楽しめるような類の眺めだ。

彼女は椅子に座り直し、天井に煙が立ち上った。
「困ったことになっているの、それであなたの助けが欲しいのよ」と彼女は言った。
「警察や弁護士じゃ、役に立たない類のもめ事」

「どういった助けが必要か言ってくだされば、お手伝い出来るかどうか分かりますよ」

「追われているのよ」と彼女は平坦な口調で言った。
「男にね」彼女はそれから数秒黙り、面白そうな表情を浮かべて俺を見た。
「何か気の利いた台詞は無いの?」

「それはちょっとばかり気が早いですな」

「男の名前はカスティロン。彼は、そうね、有力なコネクションを持ってるとだけ言っておくわ。彼は私に死んで欲しいと思っていて、それが達成出来るまで手を緩めはしない」

「何故彼はあなたに死んで欲しいと?」

彼女の視線は床に滑り落ちた。
「あたしの夫よ、良い夫だったことは一度も無いけどね。あたしに恋人が出来たのがバレた時、彼は怒り狂って恋人を殺した」彼女は瞬きをすると、煙草の端を噛みしめた。
「今ではあたしを追いかけてる。もう何週間も逃げているの。だけど、それももう終わりにする時だわ」と彼女は言い、俺の眼をじっと見つめた。

「あなたに必要なのはボディガードでしょう、探偵ではなくて」
「まだ話の続きがあるの。カスティロンに諦めさせる計画を立てたわ。やつの顧問弁護士の、ヘイダーがこの街に来ていると聞いたの。カスティロンは、彼の『ビジネス』をカークウォールに広げようとしているのよ、間違い無い。絶対に表には出せない、ヤバい商売よ。もしその証拠をヘイダーから聞き出せたら、それであたしのことを放っておくよう脅せるかもしれない。あの男のプライドより大事な物と言えば、やつの商売のネタだけよ」

「すると、ヘイダーを見つけて欲しいと?」

「その通り」彼女は頷いた。
「それと一旦彼を見つけたら、彼の書類を見つけるのにも手助けが欲しいの。彼はギャングの顧問弁護士よ、だから単に……盗みに入るわけには行かない。普通の意味ではね」と彼女は俺を勇気づけるように微笑みかけた。

こいつは、まるでヴァリックが下の店で売ってる冒険小説のような怪しげな話になってきたぞ。大体妖艶な女が土壇場で裏切り、ヒーローは絶体絶命の危機に陥るってのがお約束だ。

「ねえ、お願い」と彼女は言った。
「他に頼れるところも、手立ても無いの。この次にあたしを追ってくる連中は、銃を持っているかも知れない」
まるで俺の心を読んだかのように、彼女は訴えかけるような真剣な眼差しを向けた。

そしてもちろん、救いを求める美女の手を振り払うのは俺の主義じゃない。
「1日25シルバー、諸経費は別途。あなたのために、ヘイダーを見つけて差し上げましょう」

「あなたのような人ならきっと頼りになるって判ってたわ」と言うと彼女は顔を輝かせて、極上の笑みを見せた。

「それまでは、充分あなた自身で注意して下さい。連絡を取る時にはどうすれば?」

「そうね、あのバーは気に入ったわ。ハングド・マンに泊まっているから、あそこに来れば会えるようにしましょう。どんな用でもね」
彼女はそう言うと、50シルバーをバッグから出して俺に手渡した。

いやっほう。彼女はずばり、俺の好みのタイプだ。そして正直なところ、彼女が好みだと今でも思えることに、俺はちょっとばかり安堵していた。とは言え、この件には彼女が話した他にも事情がありそうだと考える位の正気は保っていた。だがクライアントが隠し事をするのは、別に彼女が初めてという訳でも無い。

彼女が立ち去った後、俺は階下に行ってヴァリックに今起きたことを話した。

「どう思う?」と俺は話をした後でヴァリックに聞いてみた。

「俺が思うに、お前さんは実に運が良いな。ブラザー・ジェニティヴィ旅行記の初版本を探してくれってかわいこチャンが、店に探しに来たためしはねえからな」とヴァリックが言った。

「彼女の言った名前に、どれか心当たりは無いか?」

「いいや、だがもし彼女がリヴァインから来たなら、どうしようもねえ。何せあそこのギャングのボスは半年ごとに替わってるからな、俺はそっちは関わらないことにしてるのよ」

「判ったよ、ありがとうヴァリック」と俺は礼を言うと店を出た。

「気をつけろよ、トリップ」とヴァリックが俺の背後から、少しばかり心配そうに声を掛けた。

もちろんそのつもりだった。手掛かりは名前だけだったが、それだけで俺には充分だ。
やつを見つけるのは簡単だった。簡単すぎた。最初に聞いた伝手――下町の情報屋の一人だ――がまさにヘイダーのことを知っていた。と言うよりも、ヘイダーが彼女を探していたのだ。

カークウォールに数日前に到着したヘイダーは、イザベラという名の女性を捜しているとそこら中に触れ回っていた。これがイザベラの話の裏付けになるのかどうか、俺にはよく判らなかった。少なくとも、ヘイダーがどこに宿泊しているかは判った。上町のリッツだ。

だが、俺はまだクライアントのところに駆け戻ろうとはしなかった。

俺はケーブルカーに乗って上町に向かい、ホテルのあたりをしばらくうろついた。情報を聞き出すには、正しい相手を選ばなくちゃいけない。正直者、あるいは神経質なやつはただ口を貝のように閉ざすだけだ。だが俺は今回25シルバー余計に『経費』として使うことが出来て、貝の口を上手くこじ開けた。

俺がヘイダーの部屋番号と、どういった外見かを聞き出したちょうどその時、やつがホテルの玄関を出て来るのが眼に入った。ヘイダーは青白いたるんだ皮膚をした、でっぷりした中年男で、用心棒を連れて車に乗り込んだ。俺はホテルの前から、豪勢にタクシーをおごってやつの後を付けた。
ヘイダーの行き先は薔薇の館だったが、お楽しみのためじゃあ無かった。あるいはもしそうだとしたら随分と早撃ちな野郎だ、15分もしないうちに館から出て来たからな。

俺はその午後一杯、やつの後を追いかけて上町を四方八方に走り回ることになった。俺にはヘイダーが何か重要な仕事をしている最中には見えなかった。やつが訪れた場所はどこも、会員制のクラブでも無ければ、一見様お断りの上品ぶったホテルでも無かった。だがやつは明らかに誰かを探しているようだった。建物の中に入ってあたりを見廻し、スタッフと話をし、そして再び立ち去る、その繰り返しだった。

俺がいい加減走り回るのに疲れてきた頃、ようやく彼もリッツに脚を向けた。やつが部屋に戻った頃を見計らって、俺は上町の喫茶店にある公衆電話から彼の部屋に電話を掛けた。

「あなたが、イザベラという名前の誰かをお捜しって聞いたんですけどね?」 
ホテルの交換手がやつに電話を繋ぐやいなや、俺はそう言った。

「ああ、まあね。どちら様ですかな?」

「いやなに、ちょっと興味があるだけですよ。ちなみに彼女はおいくらですかね?」

「私は彼女を買いたい訳では無い、失敬なやつだ。私は彼女と話がしたいだけだ」

「彼女の方は、あなたと話がしたいんですかね?」

「そのはずだ。お互い、相手に用事があるからな。もし彼女の居場所を知っているのなら、彼女に上町の大聖堂前広場へ、私に会いに来いと伝えてくれ。今晩6時だ」
そう言うとヘイダーは電話をガチャンと切った。

俺はソーダ水を注文した。


Notes:

  1. 禁酒法の時代、酒の販売・製造・輸送は違法とされ大量に密造酒が出回った。この中には神経系統に有害なメタノールが含まれる燃料や工業用アルコールが混入した物もあり、飲むと失明すると恐れられた。

    この時代の粗悪なアルコールを誤魔化すため、香りの強いリキュールやシロップ、ジュース、チョコレート等ありとあらゆる混ぜ物を入れてカクテルを作るようになったと言われている。ちなみに個人が自宅で飲むことは禁止されていなかった。金持ちの家でホーム・バーが作られるようになったのはこの時代から。

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17.大成功!地底回廊探検隊が帰還! への2件のフィードバック

  1. EMANON のコメント:

    ホークの女の趣味が悪いってアンタ

    アヴェリン=兄貴
    メリル=お花畑

    これでどうしろとwなあカーヴァー。なあってばよw

  2. Laffy のコメント:

    そして
    アンダース=お姫様
    フェンリス=わんこ
    セバスチャン=王子様

    おお、選り取り見取りwww

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