34.ドゥマー市長、市議会改選の遅滞弁明

フェンリスの部屋は、彼の椅子の側に置かれたランプと暖炉で燃える石炭からの明かりで、ぼんやりと明るかった。冷え込む夜には皆、暖炉の火の側へと集まるのが普通で、明け方に山から降りてくる冷たい北東風に吹き払われるまで、カークウォールは濃い煙霧に包まれた。

テーブルの上には3本のワインが出ていて、2本は栓が開けられていたが、空になっているのは1本だけだった。グラスが2つ、それとペーパーバックが開いたまま表紙を上に置かれていて、ヴァリックの「サム・ファルコン」シリーズだと判った。彼はあのシリーズを山のように量産していた。

俺がコートと帽子を衣装棚の上に放り投げる間に、フェンリスが空いたグラスにワインを注いだ。
「何か食べるものはどうだ?」と彼が聞いた。

「食べるものがあったら何でも欲しいね。昼食を取り忘れた。それに夕食も、今思い出したが」

「何か無いか見てこよう」俺がもう一つの椅子に座る間に、彼の足音が階段を下りていった。

しばらくして、フェンリスは切り分けたコンビーフをいくらかと、大きな丸パン、それとオレンジを1個、トレイに積み上げて戻ってきた。

俺はその盛り合わせを見て片方の眉を上げ、彼の顔を見た。
「こいつは君の台所にある食べ物全部じゃないのか?」

「スパイス棚には様々なスパイスが入っている、もしそちらも君が欲しければ」と彼は腰を下ろしながら言った。

俺はスパイスは遠慮して、ワインと一緒にトレイの上のごちそうを全部平らげた。

「君の今日の仕事について話したいか?」
俺がトレイを押しやった時にフェンリスが尋ねた。

俺は低く唸り声を上げた。
「いや、止めとくよ」

彼は小さく笑った。
「なら結構だ。良い話では無かったようだな?」

俺はイスにもたれ掛かって煙草に火を付けた。
「もし世の中全ての人々が上手くやれていたら、そいつは素晴らしい話じゃないか?」
彼は答えようとはせず、そして俺はもう一つ質問を思い出した。
「君は何か祝いたいことがあると言っていたな、何だったんだ?もし君の誕生日だったら、何も持ってこなくて悪かった、もし聞いていたらどうにかしたんだがな」

「トリップ、人生の最初の15年かそこらの記憶が無い俺が、どうして誕生日だけは覚えていると思うのだ?」

「帝国の連中はどこかに書き留めてなかったか?」と俺は言った。

彼はしばらくの間、ただ俺の顔を見つめていた。
「今日は、今日あたりで、俺がダナリアスの元から逃げ出して一年になる。俺の自由の記念日だ」

「そいつは確かに祝杯を上げるだけの価値はあるな」俺は彼に笑いかけると、自分のグラスを差し出してそう言った。

「その話を聞きたいか?」とフェンリスが微かに笑みを浮かべると、椅子から身を乗り出して言った。

「君の言うことなら何でも聞きたいね。君の話を聞いているのは好きだ」

フェンリスは目を見開いて、次の言葉を言う前にしばらく俺の顔を見ていた。
「本気で言っているようだな、そうだろう?」

「一応ね」

「それならば良い」と彼は静かに言った。
「ともかく、どこから話をしようか?君はセヘロンについて知っているな?帝国はあの島をクナリともう随分長い間奪い合っている」

「そしてそれ以外の国々は全て、あそこで連中が共倒れになれば良いのにと密かに思っている」と俺は言葉を挟んだ。

フェンリスはクスリと笑った。
「残念だが、その可能性は小さいようだ。ダナリアスはあそこで数々の仕事を――危険な仕事だ――行っていて、俺ももちろん、彼の護衛のためにそこに居た。俺達が帝国軍基地から少し離れた所に居たときに、クナリの作戦が始まった。詳しいことを話して君を退屈させようとは思わないが――」

「ぜひとも詳しいところを語ってくれよ」俺は自分のグラスにワインをもう一杯注いだ。

「結構だ」彼はまた寛大な笑みを浮かべた。
「地上部隊は基地を守るために後退し、その間にダナリアスのような重要人物は船で避難することになった。クナリが基地から港へ続く道路を爆弾で破壊していたし、いずれにしても道路を走るのは格好の攻撃対象となっただろう。俺は銃弾の飛び交う中、ダナリアスを乗せたジープを運転して荒れ地を突っ切ったが、広すぎる裂け目を飛び越えようとしたときに車軸が折れ、残りの道程は彼のローブを引きずるようにして走った。俺達がようやく海岸に到着したときには、船は既にエンジンを掛け、出発しようとしていた」

彼は言葉を切るとワインを一口飲み、その時を思い出すように遠い目をした。

「俺は波打ち際までダナリアスを引きずって行き、どうにか彼を船員の手に渡したが、俺は間に合わなかった。俺は身体中に銃弾を受けていて、死ぬような物ではなかったにせよ、船長は俺のためにそれ以上船の速度を落とす危険を冒そうとはしなかった。最後に俺が聞いたのは、ダナリアスが船長を怒鳴りつけている声だった、『船を止めろ、私のフェンリスを置いて行くな』と」

彼は皮肉な笑みを唇の隅に浮かべた。
「彼が個人的に巨額の投資をした実験の、一番の成功例を残して行かざるを得ないことに彼は激怒していた。俺は意識を失い、クナリの捕虜として目覚めるか、あるいは全く目覚めないことを予想していた。しかし俺にとっては幸運なことに、地元の反乱軍達が海岸に倒れていた俺を見つけ、匿ってくれた」
彼はグラスに目を落とした。
「そして、彼らにとっては俺を見つけたのが不運だった」

俺はその反乱軍を、危うくアンダースと地下組織のお友達と比較する所だったが、どうにか思いとどまった。フェンリスは話を続けた。

「彼らは俺を入院させ、健康を取り戻させてくれた。連中が、俺が何者でこの紋様が何かを知っていたかどうかは判らない。だがセヘロンで激しい戦闘が続いている間ずっと、俺はリハビリを続けながら、彼らと数ヶ月を共に過ごした」

「彼らと共に戦ったのか?」と俺は聞いた。

「少しな。彼らは俺に何も求めなかった。彼らは主人を持たず、誰にも従わず、真に自由だった。彼らほど自由に生きる人々を、俺はそれまで見たことが無かった。まるで夢のような生活だった」

「だが長続きはしなかった」

「ああ。クナリは次第に押し戻され、帝国が再び失った陣地を取り返し、さらにその他の部分も勢力下においた。帝国軍の後に付いて、秘密情報局が俺を捜しにやってきた。俺はダナリアスから隠れることは出来なかった。どうやってか、彼には俺の紋様を通じて、遠くからでも俺の存在を察知する方法があるようだ。反乱軍の人々は用心深く、クナリからもマジスターからも隠れる術を身につけていた。だが彼らも俺を隠し通すことは出来なかった。
ダナリアスは反乱軍には興味はなかった。連中は他のマジスターが担当すべき相手だった、他の部局のな。もし彼らが俺を手渡していれば、彼は気にも留めなかっただろう。だが彼らはそうしようとしなかった。俺を手渡そうとせず、ダナリアスと護衛部隊相手に戦闘を始めた」

「それで君はどうしたんだ?」と俺は聞いた。

「俺は、俺が彼らを殺した」フェンリスは頭を低く垂れた。
「ダナリアスが俺にそうしろと命じた。俺の主人が戻ってきて、俺は彼の命令を実行した、いつも、そうしてきたように」

「何だって?フェンリス、何故だ?」

「他に俺に何が出来たというのだ、トリップ?」彼は訴えるような目で俺を見つめた、まるで俺が答えを用意しているはずだと言うように。
「俺の、記憶にある限り全ての人生は、ダナリアスと帝国に仕えるために捧げられていた。反乱軍と共に過ごした日々は幻想、ただの夢だった。俺はそこから目覚めなくてはいけなかった、仕方の無いことなのだと」
彼は俺から顔を背けた。

何を言うべきか俺には判らなかった。俺は手を伸ばして彼の手の甲にそっと触れた。彼の肌に埋め込まれたリリウムはヒヤリと冷たく、まるで氷のように感じられた。それから彼は手を引いて、グラスを持つと一気に飲み干し、深い溜息を付いた。

「だが戦闘が終わったとき、俺は彼らの死体を見下ろして、俺は……俺には、もう耐えられなかった。ダナリアスは、俺の変化には全く気が付かなかった。彼は俺を呼び寄せ、情報局と共に本土へ帰還した。だが俺はもうそこには居られなかった。目を閉じる度に、自分がセヘロンでやった事の記憶が蘇った。
俺は反乱軍から、いくつかの事を教わっていた。彼らが密かに行っている諜報活動についても。それで、俺は危険を承知の上で、帝国からの亡命の意志がある事を漏らした」

彼は椅子に座り直すと、じっと俺が触れた手の甲を見つめた。
「やがて、俺にオーレイの諜報員が接触してきた。俺は手に入るだけの情報を彼に渡し、代わりに報酬として金を受け取った。俺が欲しいのは金ではなかったが、後で役に立つだろうと言うことは判っていた。そもそも、俺がどこか別の所から収入を得ていると言うことを、ダナリアスに知られる訳にはいかなかった。やがてオーレイ諜報員は俺の亡命の意志が堅いと信用し、テヴィンターから逃げだすための手配を取った。

俺は最初オーレイに留まるつもりだったが、だがダナリアスがすぐに追ってくることは判っていたし、オーレイ諜報部が命を賭けてダナリアスを制止するとは思えなかった。少なくとも、俺のためにはな。それで俺は手に入れた全ての情報を渡して、そこを立ち去った。
その後の複雑な逃亡経路の中で、どの日が祝うに相応しいか、俺には判らない。だが一年前のこの週に、俺は誰にも見とがめられずに、まだ焼け跡があちこちに残るデネリムの駅舎で列車から降りた。それからも俺は逃げ続けている、あらゆる街角でダナリアスの追跡者を退けながら」

「だが君はもうかなりの間、ここに、カークウォールに留まっているぞ」と俺は言った。

「どうやらそのようだ。楽しい日々は速く過ぎ去る。俺はここでようやく、自分の立つべき位置を、居場所を、ダナリアスに立ち向かうだけの橋頭堡を手に入れたように感じる。今では俺がやつを待ち受けている。やつは間違いなく、俺がこの街のどこかに居ると知っているはずだ。だがカークウォールではやつには何の力も無いし、マジスターに同調する者もここにはいない。そしてテンプラーの勢力は他の何処よりも強力だ。ダナリアスは用心深いが、だが俺の動きをいつまでも待ってはいられないはずだ」

「もしそうしたらどうする?もし彼が、君のことをあきらめたら?」

「それはない。だがもしやつがそうするなら、俺が追う」

「君がここに留まっている理由は、本当にそれだけか?テンプラーのため?」

「それだけではないな。ここに来るまで俺は誰も信頼することが出来なかった、俺を助けるだけの力のある者だと信じることが。君はメイジには違いないが、だが君は強い。俺の知っている、他のいかなるメイジよりも強い。あるいはダナリアスよりも」

「俺は彼を殺さないぞ、フェンリス。俺は『殺し』はやらない」

「判っている。君にそれを頼むつもりはない。だが君のその信念自体が、君の強さの一部だ」
フェンリスは最後のワインを開けて、俺達はしばらく黙ったままワインを飲み、煙草を吸って、何をするでもなく互いを見つめていた。

「話を聞かせてくれてありがとう、フェンリス」と俺はようやく言った。
「君は大体、ミステリアスな存在で居ることに長けているからな」

「そういうやり方の方を俺は好む。だが」彼はそういうと俺の眼を見つめた。
「この話は、これまで誰にも語ったことがなかった」

「本当か?どうして?」

「誰にも話をしたく無かった。それに話す相手が居た試しもなかった。あるいは、これが友を持つということの意味かも知れないな?」

俺はその話を聞き捨てには出来なかった。彼が斜に構えているだけかどうか、俺には判らなかった。俺の頭は、ちょっとばかりほんわかとぼやけ始めていた――3年前にフェラルデンを逃げ出してからこっち、本気で酒を飲んだのは久しぶりだったし、ここで食べた食事の量では、ワインの影響を抑えるには程遠かった。禁酒法のせいで、俺は随分酒に弱くなっちまったようだ。

それに、フェンリスは少なくとも俺より1本は余計に飲んでいる事実に、ある意味俺は安心していた。突撃するなら今しかない。

「ただの友達か?」と俺は思い切って言った。
「それとも、もっと別の何かか?」

フェンリスは大きく煙草を吸い込み、彼の煙草の端が明るく輝いた。

「トリップ、君は本当にそれで構わないのか?」

「何が構わないって?」

「俺について。君はハンサムな男で、ふん、その意見に同意するのは俺だけではないと俺達は既に知っていたな。そして俺はテヴィンターの暗殺者で、エルフで、逃亡中の実験体だ」

俺は両方の眉を上げて呆れたふりをした。
「君は俺に褒めて貰おうとそういってるのか、それとも心の底からそう信じているのか?フェンリス、君の言うとおり、君はエルフだ、そしてエルフというのは世間では、綺麗な連中だということになってる。ヒューマンは君たちに比べれば、図体だけでかい毛むくじゃらの、でくの坊だ」

彼はそれを聞いて笑った。
「確かに君は大きくて毛深い」彼はワイングラスに向かって、そうつぶやいた。

「それにだ、もしおれと同じ程度の顔の連中と比べたら、俺は随分と寂しい男になるだろうぜ」と俺は言った。

「まあいい、どうやらその点に付いて俺に勝ち目はないようだ。だが他の点はどうだ?君にも否定は出来ないはずだ、俺が……」彼の言葉は小さくなり、やがて途切れた。

「俺は叔父貴の家に間借りするアポステイトの探偵で、週に、良いときで2ゴールド稼ぐのがやっとだ。年頃の娘の父親がダンスの相手として選ぶ様な男じゃあないな。あれやこれやの揉め事が俺にくっついて離れようとしないし、それに俺は、母さんを心底がっかりさせている」

「それはないだろう」

「あるいはな。だけどそれは、母さんが俺に甘いせいだ」

「結構だ」彼は片手を上げた。
「君の主張には説得力がある。その……話について、考えるだけの価値はありそうだ」

「ああ、君が元の話を覚えていてくれてありがたいね。俺はとっくに忘れかけてた」

「俺にとってこれは、何もかも新しい経験だ」とフェンリスが言って、せっかく俺がどうにか深刻な話にならないよう戻した会話のハンドルを、また元の方向へと切り返した。
「今まで俺は、誰一人俺に近づけようとはしなかった」

「誰一人?」

「俺がこの紋様を身体に彫り込まれたとき、痛みが全てを消し去った。全てだ。そして触れられると、その記憶が蘇る」

「俺が君に触ると痛むのか?」と俺は聞いた。

「いいや」と彼は注意深く答えた。
「正確には違う。反応するというべきだな。君にはどうしようもないことだというのは判っている」

「もし君に触れるのがメイジでない誰かだったら、どうなんだ?」
と俺は提案したが、もっとも俺にはその馬鹿げた考えを自分がどこから引っ張り出したのか、見当も付かなかった。

「たとえば誰だ?俺は誰一人信頼できなかった。この紋様が、他の労働者達を俺から遠ざけた。そもそも俺は彼らと親しく交わることは許されていなかったし、彼らも俺を信用しなかった。それに、そうしたいと思ったこともなかった。無意味なことのように思われた。今まで誰も俺のことを――」

「欲しいと思ったやつがいない?俺には信じられないな」

「詳しく知ろうと思った者、はいなかった」
フェンリスは少しばかり俺を非難するような口調で訂正した。
「トリップ、こんな事を話すのは俺には向いていない。俺は君が笑うだろうと半ば予想していた」

「ヴァージンでいてくれたことを俺が笑うって?本当なら、地に伏して拝みたいところだな。それか、気の毒にと杯を捧げるか」

フェンリスは顔をしかめた。
「どちらの選択肢も俺は遠慮したい」そういいながら彼は、最後に残ったワインを二つのグラスの間で分けた。一体あれだけのワインが何処に消えちまったんだろうか。
「そして俺は、君と出会った」
彼がさっきの話の続きを言いだしたことに気が付くまで、俺のほんわかした頭の中をその言葉がしばらく廻っていた。

「馬鹿げたユーモアのセンスと、安物のスーツと、生意気な笑顔と、ひげの剃り残しと、魔法を持つ君に」
彼はグラスに残ったワインを、頭を反らせて一気に飲み干すと、椅子にドサリと座り込んだ。今日のワインが強烈に効いたのは、俺だけでは無かったようだ。
「君と一緒に、何をすればいい?」そういうと彼は、半ば閉じた睫毛の向こうから俺を見つめた。

「俺にはいくつか考えがあるがね」俺はグラスを手の中で回しながら、果たしてこれ以上飲むのが良い考えかどうかと思っていた。
「なあフェンリス、君が嫌だったり興味が無いようなら、俺は止めとくぜ」

「そうではない。君と一緒なら、あるいは違うかもしれない」

俺は立ち上がり、俺の視界の中で部屋が僅かに揺らいだ。俺は低いテーブルを廻ってフェンリスに近寄り、彼は俺の顔を見上げた。フェンリスの目が大きく広がり、身構えるかのように立ち上がると身体をよろめかせて、俺は手を伸ばして彼の肩を支えた。

俺達はしばらくの間互いを見つめ合い、彼のまっすぐな鼻が俺の顎の高さにあった。彼のエメラルド色の瞳は、部屋の微かな明かりの中で黒く広がり、そして俺の瞳から離れようとしなかった。暖炉の炎はとうの昔に消え、テーブルの上のランプだけが俺達を照らしていた。

「何をすればいいか、二人で調べて見ないか」俺は静かに提案した。

彼の舌がちらりと下唇を舐め、俺は少しばかり頭を傾けて彼の方に近づけると、煙草とワインと、それら全てが合わさった何か強烈な効き目の匂いを嗅ぎ取った。

「トリップ」彼は僅かに上半身をそらせて、ゆらりと一歩後ろに下がり、その眉間にシワが現れるのが見えた。彼の視線は俺からテーブルの上の空瓶に逸れ、そしてまた俺を見つめた。
「俺は――駄目だ。済まない」彼は片手を上げると額を擦った。

「良いってことさ」俺も一歩下がって言った。
「今日は止めておこう。しらふで言い寄るのは、もっとずっと難しそうだけどな」俺は彼にニヤッと笑って見せ、フェンリスは喉元で小さな、乾いた笑い声を立てた。

「あるいはな」

「君が良かったら、今夜はこれで帰ることにするさ」

彼は頷いた。
「ああ。来てくれてありがとう」

「お招きありがとうございました、っと」
俺は帽子とコートを衣装棚の上から取った。

「その」フェンリスはまだ俺の方を見つめていた。彼は身振りで、俺と部屋とワインと、全てを囲むように手を振ると言った。
「また……別の夜に、どうだ?」

俺は頷いた。
「もちろんだ。お休み、フェンリス」

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34.ドゥマー市長、市議会改選の遅滞弁明 への2件のフィードバック

  1. EMANON のコメント:

    ( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

    リア充爆発しろ!

    しかもいつの間にか半分過ぎてるしいいぃぃ
    いいもん一人でめそめそするもん。めそー。

    メリル可愛いよメリル(突然何を

  2. Laffy のコメント:

    褒めてない、褒めてないよそれフェンリスっ!
    ……もげろ。いやむしろ、もげ。

    ところでフェンリスと弱虫ゼブランの話はどうなってますかっ(鬼

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