50.チャントリー教母逮捕、第一級謀殺容疑

「トリップ!ちょっと聞いて、何かひどいことになってるのよ、真相を探らなきゃ」
その日の夜、イザベラは腰に手を当てて俺とギャムレンのみすぼらしい夕食を見下ろしながら言った。

「俺は間違いなく玄関の扉に鍵を掛けたと思ったがね」と俺は指摘したが、しかしその指摘には何の意味もなかった。イザベラは、鍵の掛かった扉と言うものの意味を理解していないようだったから。

「ああ、気にしないで」と彼女は言うと、俺の皿からラムチョップを一切れ口に運んだ。焼きすぎないように細心の注意を払った俺の心遣いに、彼女が感銘を受けた様子は無かった。
「とっても、大事なことなの」

ギャムレンは彼女と同じ部屋にいる羽目になった時いつもするように、ぽかんと口を半開きにしたままイザベラをただ見つめていた。一方イザベラの方は単に彼を無視するのが常だった。多分、俺に多少配慮してくれているんだろう、何故って彼女の前で、そこに居ただけでひどい目に遭う男は珍しく無かったから。

叔父貴がイザベラの顔をぼんやり眺めている間に、彼女の取った分の埋め合わせにと、俺は彼の皿からチョップを一切れかすめ取った。
「明日まで待てないのか?」と俺は聞いた。

「やあ、イザベラ」とようやく、ギャムレンが何か言った。

「暴動になるかも知れないわよ、トリップ」
イザベラはギャムレンの声が耳に入った様子はこれっぽっちも見せずに言った。

「いつだってあっちこっちで暴動は起きてるさ。俺としては当分暴動のぼの字も見たくないがね。俺にやって欲しいことが何であれ、金は払って貰わないとな」

「なあに、その態度。もちろん払うに決まってるでしょ。聞いて、ハングド・マンで酒が切れそうなの」

俺はぽかんとして彼女の顔を見つめた。
「それで?」

「トリップ、判ってないわね。カークウォール中の犯罪組織全体が、コーンリカーの販売に頼ってるのよ。もし供給が止まってるとしたら、絶対何かひどいことになってるの、間違いないわ」
彼女はそう言いながら、強調するように手に持ったラムチョップを振り回した。

「ふーん、するとまたギャング同士の抗争が沸き起こるってことか。終わるまでしばらくアップル・サイダーで我慢するんだな。君が何だって俺を引っ張り出そうとするのか――しかもディナーの最中に――俺には判らないね」

「最悪なディナーね、言わせて貰えば。一体何をどうすればこんな味になるのよ?」とイザベラは手に持った骨を見てしかめっ面をした。

「君の手料理はもっとマシか?」

「はっ!よしてよ、冗談じゃないわ。とにかく、あたしだって自分で調査してみたのよ。密造酒の売人も何が起きてるのか知らないって。ダークタウンの蒸留所は値段をつり上げてるけど、とにかく全然供給が追いついてないの。それに品物のほとんどが上町の闇酒場に行っちゃう、あっちの連中の方が高い値を払うから」

「メイカーズ・ブレス、まさか君はこの週末には、この呪われた街全体が素面になるかも知れないと言うのか?」
俺はその考えに恐れおののいたフリをして、胸に手を当てると眼をくるりと回した。

イザベラは溜息を付いた。
「興味無いって?」

「さあね。まあ少しくらいは。もしその原因を知りたかったら、メリルに聞いたらどうなんだ?何たって彼女の氏族は供給網の一環なんだから」

「おおう、良い考えね。さすが探偵だけのことはあるわ、トリップ」と彼女は言って俺を見つめた。
「じゃ、行きましょ」

「判った、判ったよ」
俺は降参した。密造酒の供給が途絶えたという話には多少の興味もあったし、それにメリルの家にはお手製のパンがあるかも知れない。あの豆のペーストだって、パンと一緒なら我慢するさ。

イザベラは今のところ車の持ち合わせがないようで、俺達はエイリアネージまで歩いて行った。俺はまだ両手を外套のポケットに突っ込んでいたが、夜の街の空気は前ほど冷たくは感じられなくなっていた。もう数週間もすれば、また春が来るんだろう。

メリルは家にいた。彼女は俺達が話そうとした内容を正確に理解した。
「氏族から最近返事がないのよ、私の出した手紙にも」と彼女が言った。

「君は未だ手紙のやりとりをしてるのか?」と俺は微かに驚いて聞いた。

「トリップ、あそこに住んでいるのは私の家族よ。私の氏族なの。私のことを理解しようとしないけれど、それだけ。だからいつも手紙を送って、私が元気でちゃんとやってるって知らせているの。それに、氏族がお金に困った時には私に手助けもさせてくれたわ。あなたが思うほどひどいことにはなってないの」

彼女は熱の籠もった表情で、大きく緑色の眼を見開いて言った。

カークウォールに来てからこっち、エイリアネージで彼女はなかなか可愛らしい家を自身で作り上げていた。床は手の込んだ幾何学模様の紋様が入った手編みのラグで覆われ、壁の本棚には木彫りの飾りが本の隣に置かれ、そして至る所に小さな植木鉢に入ったささやかな緑の植物があった。彼女の家の外観は貧しくみすぼらしい姿でも、内側には小さな美が満ち、それに時には焼きたてのパンの香りが漂っていた。

もっとしょっちゅう訪ねて来なきゃいけなかったと、俺は思い返していた。もっとも、俺はここに来るたびにそう思っているんだが。

「ひょっとすると道が通れなくなってるのかも?」と俺は言ってみた。

「そうかも知れない、だけど普通この季節は道は乾いているわ。春になって、サンダーマウントからの雪解け水が溢れ出すと道が泥で埋まったりすることもあるけど」

「そうねえ、どう、一日出かけてみない?」とイザベラが言い出した。
「バスケットにサイダーとサンドイッチを詰めてね。どうなっているのか見に行ってみましょ」

「まあ、楽しそうね」とメリルが笑って言った。

「いいのか、メリル?」と俺は優しく聞いてみた。
「前に行ったときどうなったか、覚えてるだろう」

「判ってるわ、トリップ。だけどあれはもう終わったこと。彼らが私を理解しないってことを、受け入れなくちゃいけない。だからといって私が彼らを嫌いになるわけではないの。とても大事な人達、何か困っていることがあれば助けてあげられると思うわ。例え彼らが理解してくれなくても」

「それにあたし達も一緒よ」とイザベラが付け足した。
「何があってもね」


翌日の朝は爽やかに晴れ渡り、日がさんさんと俺達を照らしていた。フェンリスは今日は休みの日で、大体彼がこの日に買い物や掃除――少なくとも、彼の住んでいる部屋の――や洗濯をしていて忙しいことを知っていたから、俺は声は掛けないことにした。メリルはもちろんヴァリックを誘い、俺はホースを連れて行ってメリルの車は満杯になった。もっとも前の時のように、ホースが誰かの膝の上に座らないといけない羽目にはならずに済んだ。

ホースと言えば、最近少し太ってきたようだった。母さんは買い物に行く時、俺と一緒に出かけていない時はいつでもホースを連れ出してくれていたものだ。ギャムレンはおよそ犬に愛着を持つタイプではなく、彼が裏口のドアを引っ掻けば裏庭に出してやる以上のことをしようとはしなかった。
考えてみれば、表に散歩に出るのはギャムレンにしても悪いことじゃ無いかも知れないな。

メリルが土砂崩れや何かそういったことが起きていないかと左右に眼を配りながら、常緑樹の緑と雪の白が彩るサンダーマウントの山道に車を走らせる間、ヴァリックはカークウォールの闇社会の複雑きわまる権謀術数と、突然のコーン・リカーの欠乏が引き起こしかねない大混乱について俺達に語ってくれた。

「すると何か、街全体が密造酒の商売に関わりがあるってことか?」と俺はようやく口を挟んだ。ヴァリックの話はまだまだ尽きることを知らないように見えた。

「フリー・マーチズ全体が関わってるのよ」とイザベラが行った。
「止めろと言って止められるものじゃないわ。別の方法を見つけるだけよ」

「メイジみたいなもんだな」

「うーん、そうかもね。だけど酒を飲むのを諦められない人の数はメイジよりずっと多いでしょ。例え何百人の警官に締め付けさせたって、連中だって酒は好きだしね。ヒューマンの――それにエルフにドワーフも――本性だもの」とイザベラは肩を竦めた。
「止められっこないわ。締め付けを厳しくすれば、それだけギャング一家の儲けが増えるだけよ」

「誰かが止める方法を見つけ出したみたいだけどな」と俺は指摘した。

「精々、一時収まるだけだろうな」とヴァリックが口を挟んだ。
「もし高く売れるとなりゃあ、連中はダークタウン全部の建物から店子を追い出したって蒸留所に変えるだろうよ。数週間もあれば充分な施設が揃えられる。ガラス吹きと樽作りの職人が大儲けするのは間違いないぜ、賭けたって良い」と言いながら、ヴァリックは既にサム・ファルコンの新しい小説のシナリオを頭の中で巡らせているようだった。

デーリッシュ居留地へ向かう山道のドライブは、こうして楽しく何事も無く過ぎていった。ようやく俺達はメリルの村の前で止まり、彼女がエンジンを切った。

静寂が周囲を支配した。

「門番はどこに行ったんだ?」と俺は聞いた。

メリルは既に車から降りていた。
「気に入らないわ」と彼女は人差し指の関節を噛みながら言った。

ヴァリックがビアンカのケースを座席の下から取り出し、俺達はしばらくそこに突っ立ったまま、何か起きないかと待っていた。

「気が付いた?」とメリルがぽつりと言った。
「何か、ちくちくするような感じ」

イザベラとヴァリックは首を振った。俺は大きく手を伸ばしてみた。

「ああ」と俺は言った。
「何かピリピリするな、ホンの微かに」

「魔法かな?」とヴァリックが肩を竦めた。

俺も肩を竦めた。もしそうだとしたら、俺にも判らない類のものだった。

「こんちわ!誰か居る?」とメリルが、僅かに震える声で呼ばわった。
「みんな、どこにいるの?」

サンダーマウントから吹き下ろす爽やかな風が、開けっ放しの扉をバタンと叩いた音だけが、彼女の声に応えた。

「彼らはカークウォールから出てったのかもよ」とイザベラが言った。

メリルはマラサリの家に急ぎ足で向かい、俺達は少し彼女から距離を置いて後に続いた。だが彼女が叫ぶ声が聞こえ、俺達は走り出した。

マラサリは家には居なかった。

「どうしたの?」とイザベラが、用心するように辺りを大きく見渡しながら聞いた。

メリルが振り向き、震える手で長い銀色の糸に覆われた、まるで垂れ下がったクモの巣のような物を持ち上げて見せた。それがヘアブラシと気付くまでには、しばらく時間が掛かった。

「なんて馬鹿なの、どうしてこんな事に」と彼女はささやくような声で言った。
「どうしてこんな事を?」

「どんなことをしたって?」と俺は用心深く聞いた。
「氏族の人はみんな、どこにいるんだ?」

メリルはそのブラシを机に置いた。
「見つけられると思う」と言うと、俺達を押しのけて日の当たる表に飛び出し、もう遠い昔のように感じられる、俺達が彼女と最初に出会った場所へと走り出した。

俺達も急ぎ足で後に続いたが、俺はあのちくちく、ピリピリする感覚が指の中で次第に強くなるのを感じて、幾度も拳を握っては開いた。

「これは大丈夫なのか?」と俺は先頭を早足で進むメリルに聞いた。彼女は固い決意を両肩に漂わせ、苦くこわばった表情で、足からスカートの裾にまで泥が跳ね上がっていた。

「少しの間なら、大丈夫なはずよ」と彼女は答えたが、およそ安心出来る話では無かった。

「一体何が起きてるんだ、ヒーロー?」とヴァリックが聞いたが、俺にも肩を竦める以外何も出来なかった。

その答えの、少なくとも一部が俺達の目に飛び込んできた。大きく開けた空き地の一部が黒々と焼け、何か巨大な焚き火か、あるいは火事の焼け跡のように見えたが、もちろん今はすでに冷え切り、風に飛ばされた灰が道の半ばまで白く覆っていた。

「誰かあの建物を火事で焼いちゃったとか?」とイザベラが言いながら一歩前に出た。

「待って!」とメリルが叫んだ。
「行っては駄目。あれは建物じゃない」
彼女はパラソルの取っ手を、拳が白くなるほど強く握りしめた。
「あれは火葬の跡よ」

「誰の?まさかここのみんなか?」と俺は聞いた。
「何だってそんなことに?」

メリルは答えようとしなかった。俺達はその燃え尽きた薪の跡を横目に歩き続けた。

俺達があの洞窟の入口に着いた時、誰かが俺達を待つように立っていた。年老いたエルフだった。俺にはそれが誰か判らなかった、メリルが「キーパー!」と叫んで彼女の側に駆け寄るまでは。彼女の長い灰色の髪はほとんど全て抜け落ち、細身のエルフの身体はまるで骨の上に皮が貼り付いたようで、彼女の服が肩からだらりと垂れ下がっていた。

俺は幾度も拳を握っては開くのを繰り返して、ちくちくする嫌な感覚を追い払おうとした。
「何か俺に出来ることは無いか?」と俺はメリルに聞いた。彼女は小さく頭を振った。

「どうして?」と彼女は、極度に消耗し疲れ果てた様子のマラサリに尋ねた。
「どうして、私の手を借りて下さらなかったの?」

「済んだことは、済んだこと」
キーパーの答える声は、古い紙をしわくちゃにするときのように、かすれて乾いていた。彼女は手を伸ばし、メリルの手を取った。
「良く来た、メリル。これが、お前のやった事」

メリルはパッと手を引くと、新たな恐怖を顔に浮かべて年老いたエルフの顔を凝視した。
「またこれも、私の間違いだというの?あなたがそうしたのよ、私はただ……ただ、助けたかっただけなのに」

彼女たちの会話が一体何の話であれ、俺達が聞くべき話ではなかった。俺達三人は洞窟の手前から下り、金色の穂を付けた背の高い枯れ草がそよ風に揺られるのを眺めていた。誰も、車に戻ってバスケットを取ってこようと言い出す者は居なかった。

「全くメリルには、きつい話が続くな?」とヴァリックが言った。

一時間も経った頃に、メリルの足音が聞こえてきた。彼女の目は乾いていたが、しかしずっと泣いていたかのように赤く、頬には涙の跡があった。

「トリップ、手を貸してくれる?」とメリルは静かに言った。
「この洞窟を封じないといけない」

俺は彼女の言った意味がよく分かっていなかったが、それでもともかく立ち上がると彼女の後に続いた。年老いたエルフに残っていた微かな生命ももはや消え失せ、彼女はただ地面に横たわっていた。

「一体――」

「こうするのが良いの、トリップ。慈悲なの。お願い」
彼女はパラソルの刃を手首に当てた。
「この洞窟を埋めるから、手伝って。あの大岩をあなたの魔法で砕いて下さる?私が封印します」

俺は反論しなかった。俺は指を伸ばして魔法を呼び起こし、青い光が一気に掌から肘まで強く輝いた。そしてあのちくちくする感覚はいっそう強くなった。

「ここにあるのは一体何だ?」と俺は聞いた。

「リリウムよ」とメリルが答えた。血が彼女の手首から溢れ、掌に貯まっていた。
「放射性リリウム。お願い、トリップ」

俺は頷き、洞窟に向かい力を投げつけた。強化された俺の力が、山肌にかじりつき引きちぎりるように岩を割り、砕いた。洞窟の入口はあっと言う間に岩と石くれで埋まった。メリルは何かデーリッシュの言葉で唱えていた。俺は、何かがそこで蠢き出すのを感じた。

洞窟が完全に埋もれた時には、他の二人とホースも駆け寄って来た。土埃が収まり、かつての洞窟がもはや砕かれた石くれの山となっているのを見たホースが驚いて大きく吠え立てた。俺の掌のちくちくする感覚も既に収まり掛けていた。

「氏族のキーパーとして」とメリルが、土埃に薄く覆われたマラサリの側に立って、ひび割れた声で言った。
「私が死者の弔いを行います。いくらか木を切って下さる?」

火葬の煙が昼下がりの空に立ち上る中、メリルが氏族に何が起きたのかを語ってくれた。

「あなたのお兄さんの倉庫が焼け落ちたとき」とメリルはヴァリックの方を見て言った。
「私はエイリアネージの友達に手伝って貰って、あのイエローケーキ――特別なリリウムの一種ね、それを箱ごと持ち出した。それから、しばらく家の隅に隠しておいた。騒ぎの元だから、港から海に沈めてしまおうかと思ったの。だけどそれも随分無駄な話のように思えて」と彼女は言葉を切って、溜息を付いた。

「それでマラサリが、氏族がひどくお金に困っていて遺産を売ろうとしていると言う話をしたとき、そのイエローケーキを提供したの。いつだってリリウムは闇市場で高く売れるから。だけどイエローケーキは特別。放射性を持つリリウムに精製すれば、飲んだり触れたりする必要もなく力を得ることが出来る。そういう種類のリリウムは本当に珍しくて、とても貴重なの。そして精製は、とても危険。まさか、彼らがこれほど愚かだったなんて!安全に精製するには充分な装備が必要なのに。私に言ってくれたら、精製出来たかも知れなかった。もしブラッド・マジックを使えたなら」

「それで、充分な装備が無かったらどうなるんだ?」と俺は尋ねた。

「その周囲に居るだけで、次第にリリウム中毒になる。触らなくてもそうなるのよ。メイジじゃない人達は次第に身体が弱って幻覚を見たりするようになる。だけどメイジは……メイジは力が強化されるけれど、次第に正気を保てなくなる。あまりにも長い時間晒されていると、髪の毛が抜け始め、食欲を失って、終いには立つことさえ出来なくなる。マラサリは弱っていく氏族の人々を救おうと力を使い果たした。私に言ってくれていたら!」

「何か出来たかも知れない?」と俺は聞いた。

「ええ、恐らく。彼らの血液を清めることが出来たかも。だけどあのリリウムから離れない限りは、悪くなる一方だったでしょうね」

「それでそのリリウムは、今どこにあるの?」とイザベラが聞いた。
「さっきの洞窟の中?」

メリルは頷いた。
「もう動かすために近寄るのも危険すぎる。最初に入っていたような、金属で出来た箱で扱わなきゃいけなかったのに、彼らが使っていたのはただの木箱だった。今私達に出来ることは、あれを全部埋めて、誰も掘り返そうとか思わないことを願うことだけ」

「気の毒だったな、デイジー」とヴァリックが言った。

メリルは立ち上がった。
「彼らが自分で招いたこと。欲に目が眩んだの。私のせいじゃない」と言って彼女は俺達を見た。
「家に戻りましょう」

「カークウォールに戻るか?」と俺は言った。

彼女は肩を竦めた。
「あなたが気に掛ける人々の住んでいる場所、そこが家。これからはカークウォールよ」

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