52.忠犬、火事から少年救出

章タイトルはその日のカークウォール・ポスト一面見出しです。ホーク一派の活躍ぶりが新聞に載ることは滅多にありません。


ヴァラニアも、他数人の男達と一緒に俺を待っていた。彼女は幸せそうな顔ではなかったが、かといってひどく後悔しているような顔でも無かった。

「こいつは奇遇ですな、マダム」と俺はきっと彼女から見ればひどい顔付きで、ニヤリと笑いながら言った。彼女は俺と眼を会わせようとはしなかった。

ダナリアスが彼の部下に命令を下す間、俺の首根っこを掴む手の外は彼らは完璧に俺を無視していた。俺は扉をじっと睨み付け、フェンリスがそこから入ってこないことを一心に願っていた。

そして、フェンリスが入ってきた。俺はうめき声を上げた。

「ああ、可愛いフェンリス、いつも通り時間厳守だな」とダナリアスが猫撫で声で言った。

「馬鹿野郎、フェンリス!」
コンクリ詰めの頭が自分の大声でひび割れるように痛むのは無視して、俺は叫び声をあげた。
「今すぐ出てけ!もっと大勢連れて来るんだ!」
彼は一瞬俺の顔を見つめたが、俺の貴重な助言を聞き入れる様子は無かった。

「リト!」と言いながら、ヴァラニアが数歩ためらいがちに進み出た。

フェンリスは軽く顔をしかめて彼女の顔を見た。
「君はどこかで見た事がある。君は誰だ?トリップに何をした?」

「あなたの妹よ、リト。覚えてないの?」

「……そうだ、俺達は裏庭のブランコで遊んでいた、母さんが働いている間……」とフェンリスは、何かを思い出すように言った。
それから彼の表情が固くこわばった。
「君がトリップをここに連れてきたのか!君がやつをおびき寄せた!」

「まさかな」とダナリアスが言った。
「お前自身が呼び寄せたのだ、この街でお前のような目立つ姿を見た者は誰でもそうするだろう。お前の妹はただ、善良なる帝国市民が当然行うべきことを行ったに過ぎぬ」

フェンリスは倉庫の中にまっすぐ、彼に立ち向かう男達を見つめて入ってきた。彼は銃を抜いてさえ居なかった。俺は彼の顔を凝視し、どうにかして「逃げろ」という台詞を彼の頭に直接叩き込もうとした。一体彼は何を考えてるんだ、ここに、一人で来るだと?

「俺はこの汚らわしい紋様を望みなどしなかった、ダナリアス!だがお前に彼を殺させはしない」

ダナリアスは軽快な笑い声を上げた。
「何も知らぬのだな、可愛いやつだ」

彼は数歩近づくと、俺の顔をしげしげと見つめていった。
「それで、これがお前の新しい主人だというのか?何故このような男に従おうとする、フェンリス。こやつは年寄りと共にあばら屋に住む、つまらぬ男では無いか」
彼の声には、どことなく当惑するような響きさえあった。

「俺は誰の主人でもない」と俺は吐き捨てた。
「フェンリスも、誰の物でもない」

「前半はその通りかも知れぬ、だが後半は違うな。ふむ、何やら嫉妬心を感じるのは気のせいかな?」

「黙れ、ダナリアス!」とフェンリスが怒鳴った。彼のリリウムが、鮮やかに光を放った。

「『ご主人様』と言えというに」とダナリアスが子供をたしなめるように言った。

もう沢山だ。少なくとも、一つだけ間違い無く、やつを驚かせるネタが俺には有った。

俺は魔法を呼び起こし、両手足の結び目を一気に引きちぎると、俺の後ろで首根っこを掴んでいる男の面に肘打ちを叩き込んだ。俺はそいつが悲鳴と共に手を離すのを感じたが、そいつよりダナリアスの方が遙かに気がかりだった。俺は力をマジスターに投げつけながら飛びかかった。彼は驚き、そして突然判ったというように、俺を見つめた。

冗談じゃねえ、お前は何も判っちゃいない。俺とお前に、何一つ似ている所なんぞあるもんか、このくそったれ野郎。

恐ろしく強大な、そして恐ろしく均整の取れた力と、俺の魔法がぶつかった。俺はひょっとすると太刀打ち出来ない相手に殴りかかったのかも知れない。一瞬背筋に冷たいものが走るのを感じたが、それもどうでも良かった。ダナリアスがこの後で、俺を生かしておくとは考えられなかった。

俺とマジスターの間で力が絡み合い、燃え上がった。俺はフェンリスがどこにいるのかと思った。

ブォンっ!

ああ、ここに居た。俺を取り巻いていた男達の、すぐ隣に。

彼は紋様を鮮やかに輝かせ、ダナリアスの部下をなぎ倒した。ダナリアスは一瞬のうちに姿を消したかと思うと、部屋の向こう側に出現した。

「大丈夫か?」と俺はフェンリスが、最後の男の手首をへし折る音を響かせながらそう尋ねる声を聞いた。

「火の付いた斧で頭をぶん殴られたような気分だな」と俺は言うと、歯を食いしばり、ダナリアスが投げつける猛烈な炎の矢を防ぐ防護壁を張った。だが矢の勢いは逸らせても、猛烈な熱は俺には防ぎようが無かった。

ヴァラニアの姿はあたりには見えなかったが、少なくとも彼女は俺達に火の玉を投げつけては来なかった。

俺達にはそれ以上話をする暇など無かった。ダナリアスの部下は既に最後の一人まで床に倒れ込んでいたが、ダナリアスはこの呪われた倉庫で死んだ連中全ての、怒り狂った成れの果てを召還した。フェンリスと俺は途端に忙しくなった。

何だってフェンリスが一人で来たのか、俺には判らなかった。少なくともイザベラが、そこの影から手を貸しに現れたって良いはずだ。だが、ここには俺達二人しかいなかった。俺の頭はずきずきと痛み、魔法を使うことで更に悪化した。

フェンリスはリボルバーと、彼自らの手で次々に動く死体をなぎ倒していたが、俺の防護壁がついにひび割れたのを見て俺を突き飛ばすと、倉庫の片隅の、箱の影に引きずり込んだ。俺は両手で頭を抱えて呻いた。

「俺には無理だ、フェンリス」と俺は言った。
「やつはとんでもなく強い」

俺は頭を上げた。
「だが君を連れて行かせはしない、絶対に」

「すると、お前はメイジだったか」
ダナリアスの声が俺達の頭上に響いた。
「それで説明が付くというもの。フェンリスには力強い導き手が必要だ、そうではないか?」

フェンリスは上着の中に手を入れて、オートマチックを取り出した。彼はグリップの方を俺に向けて、それを差し出した。俺は驚いて彼を見つめた。彼は再び、銃を俺の方に押しやった。

「やってくれ」と彼は言った。
「君なら扱える、俺には判る」

「俺は……」
俺は銃に視線を落とすと、また彼を見つめた。

「君だって判るはずだ、トリップ!」とフェンリスが食いしばった歯の隙間から押し出すように言った。
「やつを殺さないと駄目だ。やつは決して――」

俺は銃を取った。その内に込められた純粋な力が俺に押し寄せ、頭の痛みを洗い流した。

「俺は殺人者じゃあない」と俺は言った。自分の声が、随分遠くから響くように聞こえた。
「だが俺の周りでは、これまでも人が死んでいる。フェンリス、君がやってくれたことも」
俺は引き金に指をかけて、圧倒的な力の感触が俺を包み込むのを感じた。俺は大きく息を吸った。俺には出来る、そう信じるしかなかった。

「フェンリスが俺に、お前のそのでかい口を閉じてくれとよ」と俺は言って立ち上がり、箱の影から歩み出た。ダナリアスは眼を細め、俺が一体何をするつもりか見定めようとするようだった。普通の人々でさえ俺が銃を手に取った時の変化に気付いたんだから、別のメイジに取ってはまるで光り輝くように明瞭だったに違いない。

俺はフェンリスのオートマチックで狙いを定めると、引き金を引いた。

その瞬間、あらゆるものがゆっくりと見えた。俺の力がダナリアスの背後の煉瓦壁を打ち砕き、天井の太い梁が悲鳴を上げ、床の木板が跳ね、まるでラグを叩いた時のようにたわんだ。

ダナリアスは、しかし、傷一つ負っていなかった。

自分の放った力のせいで俺はよろめき頭はふらついた。再び顔を上げた時、輝く半球状の防護壁の中に立つダナリアスの姿が眼に入った。彼の表情は、少なくとも俺の攻撃に驚いたようではあった。

「出て行け!」と俺はしわがれた声で叫んだ。
「二度と戻ってくるな、さもないと、倉庫全体をお前の頭上にたたき落としてやるぞ」

「残りの弾は5発だな?」
ダナリアスは防護壁を消そうとはしなかった。
「お前に出来るかな。面白い、試してみようではないか。お前は3発も撃てば、立っていられなくなるであろうな。洞察力に優れた我が友よ、お前は自らが扱える以上の力を使う癖があるようだ」

言われ無くったって判ってるさ。

俺は両手で銃を抱えると、引き金を引いた。俺の前でおよそ3フィートの幅の床板が文字通り砕け散って木片と埃の雲を作り、その下の黒々としたカークウォール湾の水面が波立ち、水しぶきを上げるのが見えた。ダナリアスはよろめいたが、彼の防護壁は持ちこたえた。
俺はふらつき、ほとんど顔から床に倒れ込みそうになって、危ういところで手を付いた。フェンリスの銃が俺の指に引っ掛かっていた。俺の両耳の間でけたたましく鳴り響く非常ベルの音以外、俺には何も聞こえなくなった。

廻る視界の中で、俺は恐ろしい光景を見た。フェンリスはいつの間にか、隠れ場所を出てダナリアスの背後に回っていた。もし彼の元主人の防護壁が持ちこたえなかったら、俺はマジスターと一緒にフェンリスも壁に叩き付けていただろう。

彼の紋様が輝きを放ち、ダナリアスの防護壁が消え失せた。

フェンリスは彼の片手をダナリアスの背中に突き通し、何か致命的なものを身体の中で引きちぎった。マジスターは痙攣し、眼を大きく見開いて、口からは血があふれ出た。フェンリスが手を抜くと、彼は足下にぽっかりと開いた水面に、前から倒れ込んだ。

「貴様はもう俺の主人ではない」

フェンリスは胸を大きく上下させて唇を嫌悪に歪ませながら彼を見下ろしていた。俺の感覚の無い指からオートマチックが滑り落ち、俺はどうにか手を付いて身体を持ち上げた。

フェンリスは顔を上げて俺を見ると、床に開いた大穴を回り込んで走り寄った。彼の足下で床板が危うく悲鳴を上げた。彼は銃を手に取ると上着のポケットに戻し、俺を助けて立ち上がらせた。

「なかなか良い陽動だった、だろ?」と俺は言った。

「口を聞くな」とフェンリスが言った。

俺がどうにか立っていられるのを見るやいなや、フェンリスは身を翻した。ヴァラニアが、どこか壁の側で隠れていた場所から立ち上がっていた。

「どうしようも無かったの、リト」と彼女が言った。

「その名で俺を呼ぶな!」とフェンリスが吐き捨てるように言った。

「彼は私に訓練を付けてくれようとしたの、秘密情報局で、彼の後継者にしてくれるって!私もあなたのような人生を送れるはずだったのよ!」

「お前は自分の兄を、帝国に仕えるために売り払ったというのか?」
彼の血に染まった手が再び握りしめられた。俺は彼の側に歩み寄った。フェンリスは俺のよろめく足取りを聞きつけたに違いない。彼は肩越しに俺に振り返ると言った。
「しかも何の関係もない彼を捕らえ、そしてこの有様だ!」
彼は再びヴァラニアに向き直った。

彼女は彼れおののく眼で彼を見つめ、それから俺と、背後のひどい有様を見つめた。

「兄さんには判らない、私達がどんな目に会ったか。外で生きていくと言うのがどんなことか。兄さんは力も、地位も、全てを得た。私と母さんには何も無かった。空っぽの家と、空っぽのお腹と。それから母さんが死んで――」ヴァラニアは泣き声を詰まらせた。
「それから、生きていくために私が、どんなことをしなくちゃいけなかったか、兄さんには判らない。これが私の最後の機会だったのよ」

「そしてもうお前には何の機会もない」とフェンリスは唸るように言った。彼は血まみれの手を開き、紋様を輝かせた。

「お願い、止めて――」とヴァラニアが嘆願した。

俺は前に出ると、フェンリスの手首を握りしめた。
「止めろ、フェンリス」と俺は言った。

彼は手をふりほどこうとしたが、俺は更に強く握りしめた。もっとも彼が本気で手を離そうとするなら容易かっただろう。俺は疲れ果てていた。

「何故いけない!君は、死んでいたかも知れない。俺は、君が死ぬところを見ていたかも知れない。連中が君を誘拐したと知った時……君はもう死んでいるだろうと思った。それでも、ここに来なくては居られなかった」
彼はそう言うと、頭を垂れた。

「彼女は君の妹だ――」

「それに一体何の意味がある!」
深い恐怖の表情に代わり、再び怒りの色が彼の顔に浮かんだ。
「俺が覚えてすらいない妹、俺を罠に嵌めた女だ。いいや、俺の妹かどうかは関係ない、君の反対する理由は、君の正義の信念だろう。聖人トリップ・ホークと彼の汚れ無き手のために」
彼はそういうと俺を睨み付けた。

俺は彼の手首から手を離した。

「もし彼女を殺すなら、フェンリス」と俺は静かに言った。
「君とは二度と会いたくない。俺は本気だ。ダナリアスは死んだ。もう君に殺せと命じる者はいない。もしそれでも彼女を殺すというなら、君は自らの意志で殺人者になることを選んだ。俺はそんな人物とは関わりたくない」
俺はそういうと身体を翻して、ふらつきながらも出口へと向かった。

「そして俺は一人になるのか」とフェンリスが声を詰まらせていった。

「いいや」と俺は言った。
「だけどそうなるかも知れない、もしそれが君の望みなら」

俺が部屋を出た時、ヴァラニアが何かを言う声が聞こえた。彼女は涙声だったが、どこか反抗的な響きがあった。ともかく、家族の再会は成った。最初の計画とは、ちっとばかり成り行きが違ったが。

俺がダークタウンの細道をよろよろと上っていると、後ろから女の足音が聞こえた。ヴァラニアの靴が冷たい石畳を叩く音が響いた。彼女は俺の側で立ち止まり、俺達は目を見合わせた。俺は彼女が生きていたことに胸をなで下ろした。彼女は俺の表情に気付き、顔をしかめた。

「これからどうしたら良いの?」と彼女は聞いた。
「また私は、何もかも無くしてしまった」

「まだ君の命が残ってるさ」と俺は言った。
「どこに行こうとしているのか教えてくれ。何時の日か、彼も知りたいと思うかも知れないからな」

彼女は一瞬考え込むと、悲しげな笑みを浮かべた。
「タンターヴェイル。フリーマーチズに住む全ての絶望した人達が向かう先、そうでしょう?誰か別人になれる所って?」

俺は頷いた。
「ともかく、そう言われてはいるな」

彼女は俺を追い越して階段を駆け上り、俺はよろよろとアンダースの診療所へ向かった。


「君の子猫たちはどこへ行ったんだ?」と俺は、アンダースが俺の頭を手当てする間にあたりを見渡して言った。

「その、ダークタウンの雰囲気は猫には良いとは言えないからね。新しい家を見つけてやったよ」
少なくとも、プァーシヴァルはアンダースのベッドの真ん中で丸くなっていた。

「ああ。そりゃあ良いことだが寂しくなったな?」

「そうだね」
アンダースはいつものようにテキパキと効率的だったが、彼の声はどことなく上の空というか、遠くから話しているようだった。

「本気で言っているのか?」
彼は俺の頭から手を下ろすと、前に回って俺の顔を見た。
「もう地下組織に関わることで、僕を助けるのは止めるって?」

「ああ、アンダース。本気だ。君も手を引くべきだ。あまりに危険すぎる。それ以外にも、メレディスは今や俺の顔を覚えている。この次何か有った時に、無辜の第三者だと彼女が思ってくれるとは俺には信じられないな」

「メリルが話してくれたよ、サンダーマウントで何があったか」とアンダースが言った。
「トリップ、お願いだ。もし彼らがイエローケーキを使うとすれば、どれだけ危険なことになるか君なら判るはずだ。彼らの手に渡したまま、ただ見ている訳には行かない」

プァーシヴァルが声に気付いてベッドから飛び降りると、俺達の元へやって来た。俺は猫の頭を撫でてやりながら溜息を付いた。
「彼らだってどれだけ危険かは承知しているはずだ、エルフの死体で一杯の村も説得材料になるだろうさ。色々欠点は有るにせよ、メレディスは馬鹿じゃない。彼女自身の配下の人々を中毒に陥らせるようなことはしない。そんなことをして、何の得がある?」

「信じられるものか、トリップ。彼女は何かしようとしている」

「何かって?それでどうしようって言うんだ?」と俺は聞いた。

「判らない。だけど何かをしなくてはならない。何か大きなことを。カークウォールの人々全ての注意を向けさせるような」
アンダースは足下にまとわりつくプァーシヴァルを気にも留めない様子で、部屋中をイライラと歩き始めた。
「この街の皆が、ただのテンプラーとメイジの間の揉め事だと無視出来ないような何かを。彼らは目の前で行われている不正義を無視して、ただ漫然と日々を過ごしているんだ」

「そいつは平穏な生活と呼ばれているな、アンダース。皆に人気があるぜ」

「何時までも平穏ではいられないぞ。地下組織は大きな計画を立てている、トリップ。メレディスの冷酷な振る舞いは、その計画を早めているだけだ」
アンダースは俺の顔を見た。
「君にもその計画に加わって欲しい、トリップ。君はサークルの無い世界で、メイジの描く将来像だ。僕達全ての模範例だ」

「俺は模範になぞなりたくないね」と俺は切り返すと立ち上がった。
「なあ、アンダース。怪我を治してくれて助かった。気分もずっと良くなった。俺はもう行かなきゃ」

「フェンリスか?」とアンダースが鋭く言った。

俺は頷いた。
「彼も良い一日を送ったとは言えないからな」

俺はアンダースが怒り出すかと思ったが、彼はただベッドに腰を下ろすと、プァーシヴァルの背中を静かに撫でた。
「彼のどこが良いのか、僕には判らないよ」と彼は静かに言った。

「いざと言う時には」と俺は言った。
「彼は正しい選択の出来るやつだ」

「それだけで良かったのか?」と彼はぼんやりとした声で聞いた。

「何が良かったって?」

「いいや、何も。幸運を祈るよ、トリップ。多分、君にもそれが必要だろう」彼はそういうと俺に向かって微笑んだが、どちらかというと作り笑顔のように俺には見えた。

「君も気をつけてな」と俺は彼に答えて、診療所を出た。

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