3.上町の強盗団、不覚を取る

俺が遺言状を見せた時、カーヴァーに何が起きたか母さんは即座に悟った。俺がやつを家に連れ戻した時にそれほどひどい怪我のようには見えなかったお陰で、母さんは弟をトラブルに巻き込んだことを厳重に注意しただけで俺を解放してくれた。全くアンダース様々だ。母さんはまた別の子供を亡くすのだけは避けたいと思っているから。

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2.ドゥマー、クナリ大使館を拒絶

各章のタイトルは、一応新聞の見出し風になってます。


ヴァリックと俺が同じ日に店開きをする事になったのは、偶然というわけでは無かった。俺はもっと早く開けることも出来たが、俺とカーヴァーの手伝いにドワーフは気前よく払ってくれた。それで俺達は汗を掻き悪態をつきながら重い本の箱を幾つも運び、母さんはレモネードを作ってくれた。俺達がようやく店開きをした時には、表に客がずらりと並んでいた、とは言えなかった。

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1.遠征隊は地底回廊へ

(原作者注)全てのキャラクター及び舞台背景はBioWareに所属します。これでお金を稼ぐつもりはありません。このお話はいわば “パラレル・ワールド”物です。ゲーム内の年代やストーリーを追いかけるつもりは無いので、細かい点やエピソードは正確ではありません。もちろん物語の舞台はテダスですが、現実社会から有名な世代(“Jazz Age”)の名前を借りています。

あと、セバスチャンは居ません。ごめんなさい。彼のDLCは買わなかったので、書くことが出来ないのです。

(翻訳者注)とりあえず走り出します。メイジのトリップ・ホークとフェンリスに中心を置いていますが、セバスチャン以外は全てのDA2の仲間達が登場します。”狂乱の20年代”のシカゴならぬカークウォールを走り抜ける私立探偵ホークの物語、お楽しみ下さい。

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新シリーズ:”Jazz Age”の翻訳を始めます。

“Jazz Age”

The Jazz Age~ ダークスポーンのUボートに追われて、ホークと彼の家族はフェラルデンから逃げ出した。二年後、戦争は終った。私立探偵ホークは仲間達と共に、ジャズと密造酒ともめ事の溢れるカークウォールを走り抜ける。どんちゃん騒ぎの20年代。 ~

ここで紹介している小説は、mongoose-biteさんが書かれた同人小説 “Jazz Age” を日本語に翻訳したものです。ご本人からは直接Private Messageで翻訳の許可を頂いております。
この小説の全ての登場人物並びに舞台背景等の著作権はBioWare/EAに所属します。

— 警告! —
この小説には同性愛に関する直接的または間接的な表現が含まれる事があります。ご自分のご判断のもとでお読み下さい。該当する章の冒頭には適当な表示を行います。

- Attribution notice
This story is a Japanese translation of original one “Jazz Age” written by mongoose-bite. I’ve been permitted to translate this story via PM. You can find original story here.

— WARNING —
The content may include direct or specific words of action for BL (Boys’ love) . Read at your own risk please. The chapter would have certain warning at the outset.

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丘の麓で

彼の周りに溢れる光に気付き、彼は眼を開けた。彼は新雪に覆われた、なだらかな丘陵の麓に立っていて、少しばかり冷たい風が吹いていたが、緩やかに西に傾きつつある日の光が、暖かな色で地表の物全てをまぶしく照らし出していた。

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第135章 エピローグ―17年後

十七年か。長い年月だったが、充分というにはほど遠かった。そうセバスチャンは思いながら鏡を覗き込んで、髪を手櫛で整えほつれ毛を耳の後ろへたくし込んだ。アポステイト・メイジが、彼に降伏するために城門へ現れてから十七年。二人が共に過ごした十七年。

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第134章 充分以上

セバスチャンは浴槽に湯を張りながら少しばかり香油を落とし、浴室の中は新鮮な針葉樹の香りに満たされた。アンダースは服を脱ぐ手を止めた。
「あれ、いつもの君の匂いじゃない」と彼は言って大きく息を吸い匂いを嗅いだ。
「これは僕のじゃないか」

セバスチャンは肩越しに振り返ってにっこりと笑いかけた。
「お前の匂いが気に入ったからね。それに私自身、いつも果物の匂いがするのに飽き飽きしていたところだ」

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第133章 帰還

大教母が昼食のため城を訪れていた。ごく私的な訪問で、彼女は随行者のほとんどをセバスチャンの居室の外に残し、シスター・マウラと騎士隊長トーマスだけを連れて中へ入った。この若い騎士隊長を彼女は大いに気に入り、既に教会付きのテンプラーの団長に彼を昇進させることを決めているとセバスチャンに語った。
前の団長は些細な健康上の問題をとがめ立てされて、実際に彼が引退する必要があるまでまだ数年以上あったにも関わらず、オディール大司教の短い在任期間中にオーレイ国内の隠居先へと追いやられてしまっていた。オーレイの教会から彼を連れ戻すことが出来るとは到底思えず、その件を彼女は大いに悔やんでいた。

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第132章 戦利品の分配

アンダースは安堵のため息をついて、身を真っ直ぐに起こすと太腿の後ろ側に、矢の刺さった跡として残る微かなへこみを指で伸ばして覗き込んだ。元の傷口の周囲からかなり遠くまで広がってしまった感染を、組織の隙間に糸のように入り込んだところや小さなポケットも見逃さず綺麗にしていくのは実に苦しい作業だったが、それもようやく全部終わった。今や皮膚の下から骨の上まで、綺麗で健康な組織が覆っていた。

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第131章 救助

セバスチャンは彼の書斎で、椅子の背もたれにもたれ掛かり眼を擦った。三日前にアンダースが姿を消してから彼はほとんど眠れなかった。安らかに休息を取るにはあまりにメイジの安否が気がかりでならなかった。短い眠りの中でしばしば見る悪夢は、アンダースの身に起きているかも知れない事柄の極めて鮮やかな映像を描き出し、それを見る度に彼は恐怖に飛び起きた。それがただの悪夢、非現実的な映像だと自分に言い聞かせることさえ彼には出来なかった――メイジに対する支配や懲罰のため、あるいは単にそうしたいからという理由でどれほど酷いことが行われうるか、彼は知りすぎていた。

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